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2009年03月30日

自費出版、吉岡直人著『さらば、公立大学法人横浜市立大学-「改革」という名の大学破壊-』

大学改革日誌
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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第57号 転送歓迎
2009年3月10日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No.57, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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『さらば、公立大学法人横浜市立大学--「改革」という名の大学破壊--』吉岡直人著 発行される!

横浜市立大学
国際総合科学部
一楽重雄

 横浜市立大学は、横浜市という大都市の割には小さい中規模総合大学という形の地味な大学でした。公立大学法人になる前(平成16年以前)までは、外から見ても中にいる人にとっても、「小さな大学だがよい大学」という感じであったと思います。
 それが、2001年くらいから、ひどく高圧的な事務官僚が総務部長として市大に着任して、「学会出張は、出張でなくて職免」とか「教員も出勤簿に判を押せ」だのと、教員を敵視するようになって来ました。その後、中田市長によって「あり方懇談会」が設けられました。その座長は東工大教授で自称社会学者、橋爪大三郎氏でした。そこから大学への「脅し」としか言えないような、乱暴な答申が出されたのでした。
 その後、たまたま車の運転中に聞いたラジオで、彼は「日本では、会議の前に結論が決まっているのですよね」と言っていたのです。これは社会学者としての発言のつもりでしょうが、彼の実感でもあったと思います。彼が座長とは名ばかりであったことを、はからずもラジオで天下に告白していました。
 そして「大学改革の嵐」と続くのですが、吉岡氏の著書は、このあたりから書き始め、大学の改革案、市の改革案が作成されていく過程、そしてついには法人化以後のでたらめな「昇格人事」が最後の引き金となって辞職するまでを書いたものです。この書物は、吉岡氏から見た「大学改革」をいわば手記という形にまとめたものですが、ほぼ、全体にわたって事態の推移を書いているので、市大の改革がどのようなものであったか、大体つかめるのではないかと思います。
 吉岡先生は、いわば「改革」に抗して一緒に戦った仲間ですので、私の名前も随所に出てきます。それでも本書は私にとって新鮮でした。現在の大学の姿は、まったく横暴不遜としか言いようのない一官僚が、市長に気にいられて作った改革案、その基本的な考え方が法人化以後も生きているということがよく分かりました。
 中田市長は、ハレンチな合コンとか、お友達に市の保有する土地を安く貸したりしているとか、スキャンダルというような話がいっぱい言われるようになっています。しかし、一般の人は週刊誌のあまりに下品な見出しを見て「まさか、市長ともあろう人が」と思っているでしょう。私は大学改革のやり方、そこでのウソ、品の無さから見て、中田市長の話に限っては、週刊誌の報道が正しいと直感しています。市大内部の人間としては、「市長の交代までなんとか生き延びるしかないのか」というのが、現在のいつわらざる心境です。
 本書は、市大の方々にとっては、嵐の後に改めて「大学改革」を見直す機会となるでしょう。他大学の方々にとっては、市大改革を「他山の石」として考えて頂くために、一読の価値があると思います。

 なお、本書は自費出版ですので、カンパの意味も込めてご購入をご検討くださるようお願いいたします。
 ご注文は、下記アドレスへメールでお願いします。代金は2000円、送料はこちらで負担します。
 注文先:ichiraku@yokohama-cu.ac.jp
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