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2009年05月19日

高知大学・公正な学長選考を求める裁判を支える会、第一回口頭弁論開催

■「意見広告の会」ニュース473より

高知大学 公正な学長選考を求める裁判を支える会 

ニュースレターNO.13 2009、5,1

 4/10 第一回口頭弁論開催!

 行政訴訟の第一回口頭弁論が高知地裁において4月10日(金)午後3時に開催されました。授業開始の時期と重なったため、「授業があって傍聴できませんが、がんばってください」というメッセージを多くの方からいただきました。そんなこともあって当日の傍聴者が何人くらいになるのかいささか心配していたのですが、教職員、在学生、卒業生その他多くの人々で傍聴席はほぼ埋まりました。
 
 裁判は定刻に開始され、原告側から,高橋正征先生と弁護団長の谷脇弁護士の意見陳述が行われました。

 高橋先生は時折、満員の傍聴席にも目をやりながら、「国立大学法人は国民の負託を受けた高等教育機関として透明性の確保は言うに及ばず、よもや不公正な運営があってはならない。」「行政訴訟を通じ,国が国立大学の自律性を重んじつつも、公明正大な大学運営を担保するために学長の任命責任を如何に果たすべきかについて真剣に問いたい。」と堂々と意見を述べられました。

 こうして、いよいよ行政裁判が開始されました。

 争点は二つです。

 一つは、原告適格の問題、もう一つは国による任命行為に違法性がなかったかという点です。一つ目をクリアし、二つ目の問題の実質的な審議に入れば、本学の学長選考の真相に迫るだけではなく,学長の専横を許しかねない現在の国立大学法人法の制度的不備を指摘し,国に是正への行動を取らせる可能性も開けてくるでしょう。
 
 裁判で問われるのは、法律上の観点からの任命行為の正当性であり、その展開は予断を許しません。しかし、私たちの目から見れば、先般の学長選考の結果が「より個性豊かな国立大学を実現するといった当該大学の利益や、その貢献を期待している一般社会の利益」にかなうことであったかどうかの結論は、この一年間で出ていると思われます。露骨な論功行賞人事、思いつきや気まぐれによって振り回される組織運営、「中期目標・中期計画」策定の混迷など、当該学長が中心となって取り巻いている現執行部の迷走ぶりは、挙げていけばきりがありません。
 
 あとは、大学構成員と一般社会・国民の「常識」に合致した法律上の結論がでるかどうかです。

 私たちの闘いが体現しているのは「大学の利益」や地域社会の利益のみではありません。これは日本の高等教育の未来に関わる重大な闘いです。真に「公益」を代表するのは誰か、今後の裁判とそれを支える運動のなかで,はっきりと指し示していこうではありませんか。裁判を傍聴していくことが、私たちはあの学長選考の疑義をまだまだ忘れていないぞという強い意思表明になるのです。

 連載開示文書から第二回

 前号で11月12日付けの文部科学省への「上申書」を資料として見て頂きました。その際にも述べたように、文部科学省には都合三回「上申書」を持っていっています。
 
  1回目11月12日受け取ってもらえず。
  2回目2月15日受け取ってもらえず。
  3回目2月28日受理

ということになります。

 前回も触れましたが、これら3つの「選考報告書」の内容は、日付以外は全く同一です。3回目が他の場合と違うのは、この時には監事による『監査報告書』が添付されていたことです。
 
 1回目、2回目にはなぜ受理されなかったのか?『監査報告書』なるものはどのような経緯で作成され、どのような経緯で「上申書」に添付されるに至ったのか?そして、本当にそれは内容上「上申書」を補強するものといえるのか?等の疑問がわいて来ます。これらの問いに対しては文部科学省の担当官等責任ある人々から裁判の場で回答されるものと思います。
 
 そして、もう一つの大きな問題は、「上申書」では終始一貫して「41票差」の数字が記載されていることです。事前に文部科学省から何らかの示唆があったのかどうかは定かではありません(それも裁判ではっきりするでしょう)が、このことは、そもそも「意向投票実施結果報告書」に記載された数字とは異なった「結果」を「参考」にして選考を行うという学長選考会議のとったやり方は本来ありえないことを示しています。
 
 さらに、考えなければいけない事があります。最終的に受理された「上申書」に「41票差」のみが記載されていることに関して学内にわき起こった「虚偽記載ではないか」という疑問に対して、当時の河本朝光事務局長(現広島大学理事)は平成20年3月25日付けの「学長候補者の文部科学省申し出書類に係る事務局見解について」なる学長選考会議議長あての文書の中で、以下のように言っています。

 文部科学省提出の「学長選考者の選考について(申し出)」は、「選考報告書」以下、経歴、監事報告書等を一体として報告を行ったものである。

 つまり、『監事報告書』も一緒に持っていったから、「虚偽申告」には当たらない、というのです。さて、そうなると、1回目、2回目の報告には「監事報告書」は添付されていない以上、これらは虚偽申告(未遂)ということになります。つまり、河本局長(当時)は「虚偽申告」に決裁をだしたということになってしまいます。
 
 どうやら、河本氏にはぜひ証人として広島からお出でいただく必要がありそうです。

6月16日(火)11:00~
「学長任命処分取消請求事件」第2回

於高知地裁


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