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2009年05月20日

宇宙開発戦略本部、宇宙基本計画(案)

「宇宙基本計画(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について
 ∟●宇宙基本計画(案)

宇宙基本計画(案)

はじめに

 今回取りまとめた宇宙基本計画は、平成20年5月に成立した宇宙基本法に基づくものであり、我が国の宇宙政策史上初の試みである。

 我が国の宇宙開発利用は、昭和30年の糸川東京大学教授によるペンシルロケットに始まるが、それから約半世紀が経過し、我が国は宇宙先進国の一員としての地位を占めるに至った。例えば、失敗を乗り越えてのH-ⅡAロケット打ち上げの連続成功、「かぐや」による月のハイビジョン映像や、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」における我が国宇宙飛行士の実験等による活躍は、我が国の高い技術力を示すとともに、宇宙活動を国民にとって身近なものとすることに貢献している。

 しかしながら、我が国の宇宙開発利用を見れば以下のような危機感を持たざるを得ない。

① 国全体の宇宙に関する総合的戦略がなかったこと
 宇宙開発利用に、明確な「国家戦略」としての位置付けが与えられてこなかったことから、研究開発と利用や産業振興との連携が十分に図られてきておらず、宇宙開発利用の成果を政府全体として最大限に活かすことができなかった。

② 宇宙の利用実績が乏しいこと
 欧米のみならず、ロシア、中国など、多くの国は、人工衛星による安全保障関連情報収集などを宇宙政策の大きな目的としている。一方、我が国は、気象、通信・放送等、一部の民生面では宇宙の利用が浸透してきているものの、その他の利用分野や外交面では、今後実績をより一層重ねることが必要であることに加え、とりわけ、安全保障面での利用は、その利用が一般化した範囲に限られていた。

③ 産業の国際競争力が不足していること
 民間の調査によれば、過去10年近く、日本の宇宙産業規模は、売上げで約30%、従業員規模で40%近く減少している。宇宙産業の国際競争力不足は、実績と経験が不足していることの反映であり、衛星放送のための放送衛星などの実用衛星は、殆どが外国から輸入され、日本の人工衛星やロケットが外国により調達される事例は、極めて例外的なものに留まっている。

 宇宙基本法は、こうした問題を解決することを目的とし、宇宙基本計画の作成を義務付けた。すなわち、宇宙開発利用活動を、「研究開発主導から高い技術力の上に立った利用ニーズ主導に転換」し、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、専守防衛の範囲内で、いわゆる一般化理論を超えた「安全保障分野における活用」や、「宇宙外交」、「先端的な研究開発」を推進し、「産業競争力の強化」を図り、「環境へ配慮」することを目指して、総合的、計画的かつ強力に推進しようとするものである。

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