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2009年06月01日

北海道教育大学旭川校、アカハラ処分訴訟 解雇権の濫用か?

 北海道教育大学は,2009年2月20日,旭川分校において学生へのアカデミックハラスメントで3人の准教授を諭旨解雇(のち懲戒解雇)、また札幌分校にてセクハラ行為をしたとして准教授1人を懲戒解雇という一度に4名もの大量解雇処分を発表した。処分理由を報じた同事件に関する学長見解は以下。
http://www.hokkyodai.ac.jp/pdf/20090220press.pdf

 このうち,前者の事案について,現在裁判が進行し,5月29日にその第1回口頭弁論が開催されたという報道がなされている。この弁論で,原告側は「初めから処分ありき」,「大学側から解雇の根拠となる資料の提供や説明を受けていない」と主張しているようだ。

 因みに,この処分がなされる前の2008年10月以降,当該教員の3つゼミは,ゼミの開催を無期限停止されている。それを報じた新聞記事を下記に掲載する(北海道新聞2008年12月27日)。これによれば,ゼミ所属の学生は「指導が満足に受けられず、卒論が書けないと話し,学生の間に不安が広がっている」と報じている。このゼミ生は,どうして「学生の名誉を尊厳を著しく傷つけ人権を侵害」(学長見解)するゼミの停止が不安材料になるのであろうか。また,これに対して,理事は「卒論指導を止めたわけではない。ゼミを止めた理由は答えられない」と話したとされる。上記学長見解では,同ゼミでは,心身の調子を崩すものが「続出」していたとされるにもかかわらずである。さらに,この事案においては,上級生からの学生間ハラスメントの事実もあるようだ。

 この処分事件では,「学長見解」にあるように,本当に当該准教授3人は,「共謀」して自らの研究に利用するため,学生に過大な課題を強要し,「勉学を阻害するなど」「学生の名誉や尊厳を著しく傷つけ人権を著しく侵害した」のだろうか。かなり疑問が残る。

旭教大アカハラ解雇訴訟 大学側、棄却求める 札幌地裁

 大学の上下関係を利用した学生への嫌がらせ(アカデミック・ハラスメント)があったとして、道教育大に懲戒解雇された旭川校の元准教授三人が、同大に対し地位確認などを求めた訴訟の第一回口頭弁論が二十九日、札幌地裁(中山幾次郎裁判長)であった。道教大は「処分事由に事実誤認はなく、懲戒権の乱用ではない」として請求棄却を求めた。

 訴えによると、三人は自主ゼミで学生に過大な課題を強制したことなどを理由に処分されたが、強制などの事実はなく、処分理由の根拠となる資料の提供や説明もないと主張。解雇は懲戒権の乱用だとして、処分の無効と解雇後の賃金の支払いを求めている。

 元准教授三人は意見陳述し、「処分事由は事実ではなく、大学の調査報告書は初めから処分ありきの不当な認定だ」などと訴えた。

 道教大は三月、元准教授三人が二〇〇六年から〇八年にかけて、指導するゼミ生を早朝から深夜まで自分たちの共同研究を手伝わせたため、心身の調子を崩す学生が続出したとして、懲戒解雇処分とした。

道教育大旭川校アカハラ処分訴訟:大学側は棄却求める

 アカデミックハラスメントをしたとして懲戒免職処分になった北海道教育大旭川校の元准教授3人が大学を相手取り、処分無効などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が29日、札幌地裁(中山幾次郎裁判長)であり、大学側は請求棄却を求めた。訴状によると3人はアカハラの事実が存在しない上、大学側から解雇の根拠となる資料の提供や説明を受けていないとしている。原告の元准教授(39)は「解雇の根拠となる資料は存在しない」と意見陳述した。

「アカハラ」解雇の北教大3准教授「身に覚えない」弁論

 北海道教育大旭川校(旭川市)の准教授の男性3人が学生に対してアカデミックハラスメント(アカハラ、教員の立場を利用した嫌がらせ)をしたとして懲戒解雇された問題で、3人が同大を相手に「アカハラの事実はない」などとして解雇の無効確認と賃金の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が29日、札幌地裁(中山幾次郎裁判長)で開かれた。大学側は「アイヌ語研究に学生を利用するため、過大な課題を強制。心身の調子を崩す学生を続出させ、学生2人を不登校にした」として請求の棄却を求めた。

 原告の男性(39)は「懲戒解雇処分の根拠は、全く身に覚えがないものでした。私たちを元の職場のゼミ生たちの元に戻してください」などと意見を述べた。

 同大は2月に3人に諭旨解雇を通告したが、退職願の提出を拒んだため、懲戒解雇にした。

(北海道新聞2008年12月27日)

旭教大 「アカハラ」でゼミ停止 学生「卒論書けない」

 道教大旭川校の英語教育専攻の三つのゼミで、教員や上級生によるアカデミックハラスメント(アカハラ・学内の上下関係による嫌がらせ)などがあったとして、同大が十月から、これらのゼミの開催を無期限停止していることが二十六日分かった。「長時間の学習強要」で体調を崩した学生もいるという。

 関係者によると、同専攻には六つのゼミがあり、三つのゼミの停止で、他ゼミに移った学生を除き、一~四年約三十人がゼミを受けられなくなっている。

 ゼミ所属の学生の一人は「指導が満足に受けられず、卒論が書けない」と話し、学生の間に不安が広がっている。

 同大のゼミは自主学習で単位の対象外。だが事実上、参加は義務づけられ、教官の卒論指導を受ける主要な場になっている。三つのゼミでは「多言語を学ぶ」との理由でアイヌ語学習が進められ、「英語と無関係の学習」「長時間勉強を強いられた」などの訴えがあり、学内の人権委員会は二月と七月、聞き取り調査を実施した。

 その後、大学側が学生に配った文書は調査結果について「パワーハラスメント、アカデミックハラスメントばかりでなく、上級生などから不当な扱いを受けた-など学生間ハラスメントの事実も把握した」と報告。「ゼミ活動に伴って体調を崩し、通学できなくなった学生」も確認し、「学生の人権を守るための措置」としてゼミを停止させたとしている。

 ゼミの指導教官の一人は「学習の大変さや忙しさが人権侵害ととらえられてしまった」と反論。人権委員会委員長の後藤嘉也理事は取材に対し「卒論指導を止めたわけではない。ゼミを止めた理由は答えられない」と話している。

STVのテレビニュースは,以下。
「教育大アカハラ」初弁論

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