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2009年07月02日

「立命館百年史」1980・90 年代の総括の視点にかかわって

立命館の民主主義を考える会
 ∟●ニュース20号(2009.6.29)

「立命館百年史」1980・90 年代の総括の視点にかかわって

芦田文夫(「立命館の民主主義を考える会」代表)

(1)1980 年代以降の「総括」のこころみ

 最近、『立命館百年史』通史三の編集にかかわって1980・90 年代の「総括」のこころみが、百年史編纂室を中心に相次いで出されようとしている。『ユニタス・レビュー』vol. 7(2008.10.10)の座談会「学園の歴史的転換期における改革を語る―1980 年代の学園創造の意義― 」、『ユニタス・レビュー』vol.8(2009.1.26)の座談会「学園の飛躍的発展の時代―1990 年代の学園発展の原動力―」、『立命館百年史紀要』の近年の諸論稿、などである。そして、それらの考え方の基礎となっているのは、私たち第3巻各論の一次草稿執筆者に送付されてきた『立命館百年史』通史第3 巻「序章 社会の変動、高等教育政策の展開と1980 年代、1990 年代、そして21 世紀を迎えた立命館学園」(一次草稿、2008 年5 月、その後の改稿版はまだ公にされていないようである)という文書であるように思われる。

 これらの「総括」のこころみが「狙い」とするのは、それぞれ『ユニタス・レビュー』の前書きに明記されているように、「歴史的な経験に学びつつ、新たな改革を進めていくこと」「今後の立命館の改革のありよう」に生かしていくことにある、とされている。

(2)「改革のありよう」をめぐる課題

 現在、立命館では、これまでの改革の進め方にかんして深刻な反省がなされ、今後のありようについても全学的な論議がおこなわれようとしている。それは、なによりも「ここ数年、学園内部にあった学園執行部に対する不信感や距離感を早急に克服する必要性」(2008 年9 月、理事長・総長の全教職員に対する呼びかけ)から生じてきたものであった。いわゆる「トップ・ダウン」方式が、教学の現場と実態からの乖離をまねき、教育・研究の真の内実化と「質の向上」の課題を妨げるものとなっていたからである。……


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