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2009年07月09日

横浜市大、「現在の学長選出の実態は憲法違反である」

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(7月6日)

 教員組合ニュースをいただいた。ニュースは中期目標にかかわる重大な意見表明であり、執行部が団体交渉を要求していることを明確にしている。

 大学自治における民主主義は、国家における民主主義と同様極めて重要である。本学の場合、大学の長が、民主主義的手続き・制度によって選ばれていない以上、代表性を欠如していることは明確である。それは、憲法の保障する「大学の自治」を破壊していることを示すものである。日本国憲法の代表的教科書(『芦部憲法』)をここで今一度熟読すれば、教員組合のスタンスの憲法的正当性を再確認できよう。

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「大学の自治の内容としてとくに重要なものは、学長・教授その他の研究者の人事の自治と、施設・学生の管理の自治の二つである。ほかに、近時、予算管理の自治(財政自治権)をも自治の内容として重視する説が有力である。

 (1)人事の自治  学長・教授その他の研究者の人事は、大学の自主的判断に基づいてなされなければならない。
以下略・・・・・・・・・・・・・・・」(芦部『憲法』)
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 現在の本学は、理事長、それに副理事長(学長もその一人)の選任が、市当局によるもの(学長の場合選考委員が市当局任命)となっており、なんら「大学の自主的判断」、大学の自治によるものではなく、それらを保障するものとはなっていない。

 法人化前のかつての学長選任制度は、大学教員による間接選挙であったが、少なくとも大学教員の一人一人が間接的にか、直接的(選挙人に選ばれれば)に、投票で意思を表明することが可能であった。それは、戦後憲法の精神を体現するものとして、全国の圧倒的多数の大学で実施された制度であり、「大学自治」の基本的制度的保障であった。

 それは、今回の法人化をめぐる「改革」のなかで、撤廃された。「教員は商品だ、運営に口出すな」と、大学教員の学長選出権をはく奪した。その徹底ぶりは、「オンリーワン」と形容すべきものであろう。

 現在の学長選出の実態は、芦部憲法が示すように、憲法違反状態である。

 かつての大学教員だけによる学長選出が、大学構成員全体による学長選出に比べて民主的正統性において弱かったとすれば、むしろ、できるだけ「大学構成員全体=大学」の代表者としての学長の選挙制度を創造すべきなのであり、かつての「民主制」の基盤の弱さをできるだけ改善して、民主的正統性の実を大きくすべきものなのである。

 「大学の自主的判断」、「大学の自治」をどのようにして保障するのか、それが問われている。

組合ニュース

副学長からの手紙

 次期中期計画の策定については、現在骨子案の策定作業に入っています。7月末から8月上旬にかけて、骨子案の提示と学長・学部長・研究科長等と教員との意見交換の場の設定が予定されていますが、それに先だって、次期中期計画策定のスケジュールを説明し、学長から基本的考え方を提示して先生方と意見交換をする場を持ちたいと考えています。間近のご案内になってしまいはなはだ恐縮ですが、以下の日程で一回目の意見交換会を持ちたいと思います。ご都合のつくかぎりご参加下さいますようお願い致します。

 実は、執行委員会では、もう、早速ある先生からメールをいただきました。「中期計画の策定にあたって、教員の意見聞き取りをするということですが、上層で決めたことを通すことを予定したうえで、「広く教員の意見にもとづいて決めた」と主張するための儀式にすぎないでしょう。欺瞞です。よく官僚が、決めた計画を実行する直前に、住民への説明会を開くのと同じ発想ですね。」 同じ発想というか、横浜市派遣職員がやっているのですからidentityとも思われます。中期計画は大学にとって疑いもない重要事項なのですから、学校教育法第93条に基づき、事務方陪席の下、教授会できちんとした審議を行うべきです。

 学長を権威者として利用しようとしているのでしょうが、難しいでしょう。選挙で選ばれていない人間が、代表面をするのには無理があります。学長という職に本当の権威が与えられる選挙が実現できるよう、教員組合としても努力していかなければならないと考えます。……


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