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2009年10月02日

大学評価学会、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約・政府報告に関する意見」

大学評価学会
 ∟●「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」政府報告作成に関する第2回市民・NGOとの意見交換会(2009年9月16日)に提出した意見 

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約・政府報告に関する意見

2009年9月5日

団体名(大学評価学会 国際人権A規約第13条問題特別委員会)

住所(京都市伏見区深草塚本町67 龍谷大学 細川研究室気付)
電話( 075-645-8634 )
FAX( 同 上 )
Eメール( hosokawa@biz.ryukoku.ac.jp )
団体の場合は執筆者名( 細川 孝 )
(1件につき1枚の用紙を使用して下さい)

1.条約関連条項: 13条2項(b)(c)

2.見出し 中等教育および高等教育における「無償教育の漸進的導入」の「留保」について

3.内容(1,000字以内。なお、個別具体的事案についてはご遠慮願います。)

 すでに多くの調査、研究において明らかにされているように、「構造改革」のもとで格差、貧困問題が深刻化し、教育分野にも大きな影響を与えている。教育政策は本来、日本国憲法の精神に則して「教育機会の均等」を理念にして行われるべきものである。しかし、公教育財政支出の貧困な日本においては、他の先進資本主義諸国に比して教育費を家計に依存する比重が高く、経済的困難層の教育を受ける権利は著しく侵害されている。
 1979年に国際人権規約A規約(社会権規約)を批准した際に、日本政府は第13条第2項(b)および(c)について、「規定の適用にあたり、これらの規定にいう『特に、無償教育の漸進的な導入により』に拘束されない権利を留保する」ことを宣言している。以来30年が経過したがいまだに「留保」を続けているばかりか、世界でも異常な高学費を国民に押しつけてきた。また、奨学金制度の充実を怠ってきた(日本の奨学金制度は、国際的常識からすれば「奨学金」の名に値しない、ローンである)。
 21世紀における知識基盤社会の実現のためにも、高等教育までも含め「教育機会の均等」の実現を急がなくてはならない。そのことは同時に、危機に瀕した日本の市民社会を救うことにもつながるだろう。2年前の意見交換会のとき以上に、事態は深刻化している。ただちに、「留保」を撤回し、「無償教育の漸進的導入」に着手することを強く求める。これまで繰り返されてきた日本の実態を偽った政府報告書の作成は、国際的にも国内世論からも決して許されないだろう。


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