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2009年10月07日

横浜市大教員有志、横浜市立大学「改革」の見直しに関する要望書

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(10月5日)
 ∟●横浜市立大学「改革」の見直しに関する要望書(平成21年10月5日)

10月5日 この間、中田前市長時代の問題が次々と表面化してきている。その重要な問題点の一つが、大学の「改革」である[1]。

 われわれは、新市長が誕生したのを機会に、中田前市長のもとで強行された大学「改革」の重大な問題を、新市長に訴える機会を得たいと考えた。そこで一楽教授と私が発起人となり、「市長への要望書」を作成し、これに賛同してくださる教員の方を募集した。当初、固有職員の方々に呼びかけることも考えたが、「任期制」で身分が不安定な現状では厳しいであろうということで、見合わせた。

 時間をかけて出来るだけたくさんの賛同者を集めてはどうかとの建設的意見も頂戴し、また、要望書の柱立てなどに関してもいろいろのご意見が寄せられたが、とりあえず、「機を逸しては」ということで、夏休み明けから9月30日までで賛同者募集を打ち切り、要望書提出の行動に移ることとした。この間に、発起人二人を合わせ、三十余名の賛同者を得た。

 要望書提出の基本趣旨にご賛同で原案通りにご賛同いただいた方々、文章表現などで改善や追加を求める意見を表明されながら基本的に賛同された方、柱の立て方や柱の一部に関して同意できないのでと辞退される方、その他、この間にはご返事を頂けなかった方々などさまざまであったが、当初予定した30名を越えた段階で、要望書提出を決断した。

 本日、下記の「市長への要望書」を、一楽教授が関内の市長のところに届けてくださった。
 市長、関係部局がどのような態度を示すか、今後、この場で可能な限り、紹介していきたい。

横浜市立大学「改革」の見直しに関する要望書

平成21 年10 月5日

横浜市長 林文子様

横浜市大教員有志
代表:一楽重雄 永岑三千輝
賛同者:松本健吾,中谷 崇
他 計30名

 私たちは,現在の市立大学には多くの問題があり,独立行政法人化に伴う「改革」を見直す必要があると考えています.現在の問題点の主な点を指摘し,早急に「改革」について見直すことを要望します.
 それによって,市民に誇れる健全な大学として発展すること,私たち教職員が気持ちよく働ける場所となることを望んでいます.

1. 「改革」で採用された「全員任期制」は,「大学の教員等の任期に関する法律」に抵触の恐れがあります.また,横浜市が主張するように,この制度が「労働基準法第14 条」に基づくものとしても,労働基準法改正にあたっての国会の付帯決議に反します.コンプライアンスを重視する横浜市として,再検討が必要な点です.
 また,現実にも全員任期制は教員が任期のない大学へ転出する動機となっていて,大学にとって重大なマイナス要因になっています.
(国会の付帯決議:『労働契約期間の上限の延長に当たっては、常用雇用代替化を加速させないように配慮するとともに、有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと。』)

2. 「大学改革」に伴い,実質的に教授会が廃止され,教員が大学運営に関与しない形になりました.私たちは,これは学校教育法 第93 条「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」に違反する状態であると考えています.また,現場の教員にまったく権限がないため,実際の大学運営上も困難が生じています.一定の権限を持つ教授会の設置が必要と考えます.

3. 現在,理事長と副理事長(兼事務局長)は,共に横浜市職員OB が就任しています.理事長として大学に通暁している民間人・大学人を任命するよう要望します.また,学長選考のあり方の見直しも必要です.

 以上について,私たち現場の声を聞いて頂きたく,市長との面談を要望いたします.


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