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2009年10月27日

横浜市立大、教職員と学生の悲鳴が届く余地がない

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(10月26日)

10月26日 22日付の教員組合週報を受け取った。この間、定年退職教員の不補充と「割愛教員」の不補充により、全体としても負担が大きくなっているが、人により、分野により、極めて負担が大きくなっているところがある。その点はこの間、教員組合が特に強く主張しているとおりであろう。

 かつては、学部4.5コマ、大学院1.5コマといった大体の基準(ノルマ)があった。しかし、先日もある人と話していたら、その人は11コマだという(この人は、学会でも活躍しているので、研究時間も相当に必要である)。普通の私学なら、オーバータイム手当などと称する手当があり、負担過重はしかるべき一定範囲で報われる。そうした制度もなく、負担だけが大きくなっているとすれば、まさに、過労死などの危険性も高くなっている人がいると推定してもおかしくはない。

 とりわけ、入試関係の仕事は一番神経を使うものであり、十分な時間的精神的余裕がほしいものである。それだけに、現場の教員の勤務実態(人員減少の中での負担増)を無視したことが行われるとすれば、そこから発生する諸問題の責任は、なによりもまず大学経営陣にあることになろう。

 上記のある教員は、毎日の勤務実態・仕事時間の実情を、奥さんと一緒にきちんと記録にとどめているという。何かあった場合、身を守るためである。

 とりわけ、教員評価制度と任期制(任期更新回数は2回とか3回に限られている…この点からすれば「大学教員任期法」の適用という面がある…そしてこの任期切れ=解雇を正当化・合法化する側面こそ、テニュア制度が合理的基準・説得的基準で整備されていない現状こそ、多くの文科系教員の「任期制」非同意の根本的理由である)の二つに縛られて発言の自由が抑圧され、また、学部教授会が実質においてボトムアップの機能を果たしえていない現状において、現場教員の悲鳴が届く余地が極めて少ないからである。
 評価権を握る管理職は、「上から」の任命である。

 その点は、PEで苦しむ学生諸君と共通するところがある。
 カリキュラム等に関する学生アンケートが昨年と同様今年も行われるようである(ただし、アンケート項目が大きく変更されているようであり、何が削除され、どのように変更が加えられたのかの検討が必要となろう)。しかし、そのアンケートは4年生(ハードルの不当さ・非合理性に怒りや不満を持ちつつもなんとかクリアできた諸君)に対するものである。
 進級制度に一番問題を感じている人々、画一基準で進級を阻まれた2年次留年の学生は、アンケートの対象外である。彼らにはその苦しい実態を伝える手段がない。一番問題を抱えている諸君の声が吸い上げられるルートがない。

 当局は、こうした場合には、「大学の自治」を振りかざし、問題があれば大学内で解決すればいいというが、そのための制度的保障はない。
 全員任期制や評価制、PEなどは、「大学の方針」とされる。しかし、その制度が抱えている諸矛盾、その制度発足時から一貫して指摘されている諸問題、それに苦しむ人々、またそうしたことを指摘する人々の声も、「大学」の実態を構成するものだが、そうしたものは顧みられることがない。「大学」が、実に実態からかけ離れたものとなっている。

 中期計画などでは、本当はこうしたことこそ見直すべきであろう。……


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