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2010年03月03日

大阪府立大学の改革指針(案)、橋本徹「GRPの低い大阪で高等教育に230億円投下するのは馬鹿げたマネジメントである」

大阪府立大学
 ∟●大学改革
  ∟●大阪府が策定した「大阪府立大学の改革指針(案)」(平成22 年2月)

なぜ、いま府大改革か ~新たな問題提起と大学の決意~

 公立大学法人大阪府立大学に対する府の中期目標期間の終了を迎える中、府では、現下の大学を取り巻く諸情勢を踏まえ、今後の府立大学のあり方に対して戦略本部会議(H21 年9 月)で問題提起を行った。
 これを受け府大で改革案を練り、その改革案を戦略本部会議(H21 年12 月)で議論した。
 本指針は、これらの経緯を踏まえ、大学法人の設立団体として、今後の府立大学の具体的な方向を取りまとめるものである。

……

■府大のあり方に対する問題提起 (平成21 年9 月の戦略本部会議)

○ 府では、平成17 年度に公立大学法人化、三大学統合などの大規模大学改革を実施し、この改革は特に効率化の視点から一定の成果を上げてきた。このことは、全国の公立大学の中でも、評価に値することである。
○ 公立大学法人大阪府立大学が運営する大学の改革の現状は、評価面も多いものの、一方で、課題と考えられる点も散見される。大学運営において、地方独立行政法人制度のメリットが十分には活かされていない点や前回の改革において大きな枠組変更を優先させたため十分議論が出来ず、法人の中で検討を進めるとして現在の中期目標で提示した課題も含まれている。
○ また、設立団体(大阪府)の引続く財政的逼迫や大学淘汰、大学評価時代を迎えるという厳しい環境等、今後の大学を取り巻く外部環境を考えれば、いまの形態をそのまま継続するのではなく、課題解決に向けさらなる検討が必要である。
○ さらに、そもそも、全国の大学が質・量とも充実してきている中で、府が何故敢えて大学を経営する必要があるのか、という根本議論は常に付き纏い、加えて、大阪市立大学という全国規模の大きい公立大学が存在する状況下で、匹敵する規模の公立大学の並存には“二重行政”としての疑問も残っている。
○ このような中、府としては、平成21 年9 月8 日の戦略本部会議で、公立大学法人大阪府立大学に対して「選択と集中」をはじめとした問題提起を行い、独自改革案の検討を求めた。

……

大阪府立大学問題を考える会

大阪府立大学「改革」に関する声明

 去る12月16日に開かれた大阪府戦略本部会議において知事は、大阪府立大学が12月3日に提出した「学部再編改革案」について、おおむね了承したと、新聞報道が伝えている。
 私たち大阪府立大学問題を考える会は、それに先立ち、11日に知事と戦略本部会議宛に以下の二点にわたる要望書を提出している。

 1、運営費交付金削減と理系特化を至上命令とする知事の強硬な姿勢による今回の「改革」は、大学側は2ヶ月という短期間で作成を余儀なくされ、十分な論議を経ていない拙速案との批判が学内からも出ている。今後、教職員・学生を含む全学の意見、さらには学外有識者の見解などを再度集約する時間を十分に大学に保障すること。
 2、大阪府立大学は2005年に府立三大学の統合により、総合大学として新しくスタートしたばかりである。府民のさまざまな課題を集約する場として、総合大学は必要不可欠である。文系学部の廃止、理系特化の方向を見直し、総合大学としての機能を回復する学部改革を再度検討すること。

 今回の大阪府立大学の「学部再編改革」における文系学部の廃止、理系特化に見られる大阪府のやり方は、大阪の教育・学術・文化を切り捨てる他の施策とつながるものであり、経済効率優先のやり方は、大阪の教育・学術・文化の将来に大きく禍根を残すものとなる。
 当会が提出した要望になんらの顧慮もなく、既定方針通りの方向を出した大阪府知事と大阪府戦略本部会議に抗議をすると同時に、私たちは大阪府立大学が、今後府民に開かれ府民に貢献できる大学として、その機能を発揮し、よりいっそう発展することを念願し、引き続き行動していく所存である。

2009年12月19日

大阪府立大学問題を考える会
代 表  中 井  英 二
野 崎   清
 

大阪府立大学 情報 (非公認)
 ∟●府議会、始まる(2010年2月27日)

府市解体再編に会派として賛成の立場をとる最大会派自民党の幹事長 吉田議員による代表質問での大阪府立大学改革に関する質疑と知事の応答は以下のようなものでした。

 全入時代、グローバル化の背景下、時代をリードする大学としての改革を是非行って欲しい。そのための将来像を聞かせて欲しい。

 公立大学の使命として域内における人材育成は必須である、また、大阪市立大学を意識しなければならない。東京の180億円に対して、GRP(域内総生産)の低い大阪にあって高等教育に運営費交付金が230億円投下されていることは馬鹿げたマネジメントである。大阪という区域でトータルマネジメントとして税の効率化として公立大学の運営金を減らすべきである。

因みに,府議会の議論は,以下にビデオ化されている。
大阪府議会・議会中継
2/26(金) 吉田利幸(自民) 代表質問 ・大阪府立大学の改革について
3/1(月) 西脇邦雄(民主) 代表質問 ・府立大学の改革案議論の経緯について伺う

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