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2010年04月16日

日弁連、真に労働者保護に値する労働者派遣法抜本改正を求める会長声明

日弁連
 ∟●真に労働者保護に値する労働者派遣法抜本改正を求める会長声明

 真に労働者保護に値する労働者派遣法抜本改正を求める会長声明労働者派遣法改正法案(以下「改正法案」という。)が本年4月6日、衆議院に提出された。当連合会は、「労働者派遣法の今国会での抜本改正を求める意見書」(2010年2月19日)を発表し、この意見書の趣旨に沿った抜本改正を強く求めてきたところである。

 今般、改正法案では、法案要綱段階で盛り込まれていた派遣先による事前面接の解禁については、引き続きこれを禁止とする修正を行ってはいるが、改正法案のままでは、労働者保護に値する抜本改正にはなおほど遠く、法案策定の過程において、法改正を切実に望む派遣労働者の声が十分に反映されていたのか疑問が残る。

 よって、当連合会は、以下のとおりの修正を要請するものである。

 第1に、改正法案では、登録型派遣について原則禁止としながら、政令指定26業務を例外としている。登録型派遣は全面的に禁止すべきである。仮に例外的に専門業務について許容するというのであれば、真に専門的な業務に限定されなければならないにもかかわらず、現行の政令指定26業務の中にはもはや専門業務とは言えない事務用機器操作やファイリング等が含まれており、専門業務を偽装した脱法がなされるなど弊害が大きい。また、これらの業種は女性労働者の占める割合が高く、女性労働者の非正規化、男女賃金格差の温床となっていることからも、厳格な見直しが必要である。

 第2に、改正法案では、本来全面禁止されるべき製造業務への派遣を含めて「常用型」派遣は認められている。ところが、改正法案では「常用型」についての定義規定が定められておらず、期間の定めのない雇用契約のみならず、有期雇用契約も含まれる運用がなされる危険性がある。また、行政解釈では、有期契約であっても更新によって1年以上雇用されている場合や雇入れ時点で1年を超える雇用見込みがあれば、常時雇用として取り扱うとされており、登録型派遣を禁止する意味がない。「常用」については「期間の定めのない雇用契約」であることを法律に明記すべきである。

 第3に、団体交渉応諾義務等派遣先責任を明確にする規定が今回の法案には定められていない点も問題である。派遣労働者は、派遣先の指揮命令下に日々労務の提供を行っているのであり、派遣先が自ら使用する労働者の労働条件改善について一定の範囲で責任を負うべきである。

 法改正は、労働者保護のための規制強化への転換点となるものである。当連合会は、真の派遣労働者の保護ひいてはわが国の労働者全体の雇用の改善に資するよう、派遣労働者の実態を踏まえた修正を求める。

2010年(平成22年)4月14日

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