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2012年02月22日

高知県議会:知事、高知短期大廃止表明 「県立と工科大で機能担う」

県議会:知事、短大廃止表明 「県立と工科大で機能担う」--定例会開会

 2月県議会が21日開会し、尾崎正直知事は高知短期大(高知市永国寺町)について、「組織を維持するのでなく、その機能を発展させながら、県立大と高知工科大に引き継いでいきたい」と初めて廃止の方針を表明した。県私学・大学支援課によると、県議会が廃止を承認した場合、15年度から学生募集を停止することになるという。【小坂剛志】

 高知短大は夜間大学の役割が高まっていた1953年に開学。短大と県立大を運営する県公立大学法人(南裕子理事長)は昨年12月、県立大の文化学部を拡充して、短大を「発展的解消」させるという考えを県に示した。

 15年度には高知工科大の社会科学系新学部が、短大のある永国寺キャンパスに開設される予定で、県は今年1~2月、短大の「発展的解消」について県民から意見を募るパブリックコメントを実施。113人から173件の意見が集まり、「短大は重要な学び場」(50件)▽「短大は働きながら学ぶことができる」(32件)▽「4年制は学費の負担が大きい」(34件)--など廃止に反対する声が相次いだ。

 尾崎知事はこの日の県議会で「短大の機能については県立大と高知工科大で十分担うことができる」と強調。

 その理由としては、県立大と高知工科大の2大学とも、経済的に就学が困難な人のための授業料減免制度があり、日本学生支援機構の奨学金制度も拡充してきている▽2大学に大学入試センター試験を必要としない社会人特別入試制度を設ける▽夜間や土日に受講し、4年間で学士の資格を取得する仕組みを県立大につくる--などを挙げた。また、「4年制大学であることによって幅広い分野で専門性の高い教育ができる」と述べた。

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 提出議案は、総額4340億8800万円となる来年度(12年度)一般会計当初予算案など86件。永国寺キャンパス整備費として、1億1800万円を計上している。会期は3月16日までの25日間で、一般質問は2月28日~3月2日。

 ◇学生ら存続へ署名活動

 高知短大を「発展的解消」するという県の方針に、短大に通う学生からは不安の声が漏れた。

 短大廃止への動きを受けて、卒業生らでつくる「高知短期大学存続を求める会」は昨年12月から署名活動を開始。同会によると、1月27日に署名1万5500人分を県に提出した。さらに今月14日には、短大の学生11人が尾崎知事と面談。新たに集めた8845人の署名を手渡し、廃止決定の延期を求めたという。

 昼は森林総合研究所四国支所に勤めながら同短大に通う杉本育己さん(53)=高知市=は、「夜間の4年制大学になると授業料は支払えない。また履修に時間もかかるため、仕事に支障が出る。将来の若者たちの学ぶ機会を奪わないでほしい」と訴えた。同会は今後も短大の存続活動を続けていく予定。

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