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2012年06月06日

専修大学北海道短大不当解雇事件、裁判始まる 支援組織発足!

北海道私大教連
 ∟●専修大学北海道短大不当解雇事件】裁判始まる。支援組織発足!

専修大学北海道短大不当解雇事件】裁判始まる。支援組織発足!

 大手私学法人の専修大学(東京都)が一方的に北海道短大(美唄市)の募集停止を決め、教員を整理解雇した事件で組合の8教員が法人を提訴した事件の公判が本日、札幌地裁で始まりました。また、同日夜に8教員を支援する「支える会」が正式発足。以後、本格的に活動を開始します。
 裁判は16時から開始。8教員代理人弁護団の長野弁護士(道合同法律事務所)と、原告を代表して足達委員長が堂々と意見陳述。傍聴席は「支える会」発足前であるにもかかわらず多くの市民に駆けつけていただき一杯となりました。
 当日は本訴公判後に、同時進行中の仮処分申請「審尋」(原則、非公開)が入っていたため、傍聴終了後の支援者打合せを行うことができませんでした。お忙しい中、駆けつけていただいた皆様へきちんとご挨拶することができず、取り急ぎこの場を借りて御礼を申し上げます。
 以後、裁判の本格化と並行して支援活動を強化する体制が整いました。「支える会」事務局組織も始動。情宣や署名活動等、旺盛に取り組み、公教育機関にあるまじき事件を乱発する専修大学法人の横暴さを社会全体へ告発していきます。
 次回の公判は7月9日(月)13:30より札幌地裁701法廷で行われることが決まっています。
 (どなたでも自由に傍聴できます。終了後に支援者打合せ、交流の時間を設けます。)
 今後ともこの裁判闘争への皆さまのご支持ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

【原告8教員代表の足達委員長による、本日の陳述概要を紹介します】

 わたしたち原告8人は、平成24年3月に、31日をもって解雇するとの通告を、学校法人専修大学から受けました。理由はなんでしょうか。わたしたち8人を解雇しなければ、数百名の教員を擁するわが国有数の学校法人専修大学の命運が危うくなるのでしょうか。いまだにわたしたちは、首を切られる理由がわからないのです。
 ではこれまでのわたしたちの学生教育・研究活動は、学校法人にとって意味のないものだったのでしょうか。わたしたち8名が育て、送り出してきたのは北海道短大の学生です。しかし実際には学校法人全体に貢献してきたと思っています。少子化によりどの大学でも志願者数確保に奔走する昨今、わたしたちは長年、北海道短大の学生の多くを東京の専修大学へ編入学させてきました。また北海道短大の卒業生は、東京の専修大学、石巻専修大学と同様、全国にひろがる専修3大学全体の同窓会組織「校友会」の会員であり、3つの大学の区別なく、社会人としてのつながりを持っています。この3大学の一体性は、校友会の場でよく使われる「オール専修」という言葉に現れています。わたしたちは、学校法人の一教員として「オール専修」と胸を張って名乗れる人材を社会に送り出してきました。やはり、解雇される理由がわかりません。

 わたしたちは以前から、学校法人内での配置転換を検討してほしいと、団体交渉の場で法人に要請してきました。法人が提案する事務職員のポストや、リクルート・コンサルティングによる求職活動に応じられなかったのは、人生の大半を大学教員・研究者として働いてきたからです。わたしたちは大学で教育・研究するために、通常よりも長い年月をかけて教育を受け、学び、この職務を果たす能力を得ました。この職業を続けようと願うことが、それほど大それた望みでしょうか。
 世の中にはやむなく他の職業に就かねばならない人がいます。しかしだれもが思いつく方法を、実行してもいないうちから、首を切る、他の職業を探せと言われては、納得できません。わたしたちは、まずは東京の専修大学教授会に配置転換を検討してくれるよう、理事会から要請してくれないかと頼んだのです。教授会の意向を無視して、単純に「横滑り」で東京に移せなどと言っているのではありません。専修大学教授会に対して、わたしたち8名の願いを、 法人はいったいどのように伝えてくれたのでしょうか。団体交渉では何度それを尋ねても具体的に説明してもらえませんでしたが、解雇回避努力という点で、その内容を知りたいと思います。この法廷で、法人はこうしたことを明らかにしてくれると思います。しかし現在のところ、法人の北海道短大に対する姿勢は、おざなりという念がぬぐえないのです。

 北海道短大に対する法人の、数年前からの姿勢を一言でいえば、「直前になって、前触れなく最終決定を下す」というものです。
 学生募集停止後の教職員の処遇については「これから検討する」と言い続け、平成24年3月30日になって、31日付けの解雇を突然通知しました。
 学生募集停止も、北海道短大・美唄市との事前協議がないまま、すでに決定したものとして突然発表しました。しかもそれは、その2年前からスタートしていた「緊急3カ年計画」の途中でした。「前触れがない」どころか、短大存続のための計画実行を指示しておきながら、その途中での、突然の、募集停止です。
 そもそも教職員の処遇や大学の跡地をどうするかは、あらかじめ検討するものではないでしょうか。「教職員や跡地はこうしようと思うが、どうだろうか」と事前に協議するのが、ふつうだれもが考える手順です。これら突然の決定、突然の発表を見ていると、法人の手順はいかにも場当たり的と言わざるを得ません。
 「緊急3カ年計画」を完了する機会を奪われ、実質的に意味のない職業斡旋を直前に提示され、われわれ8名には対応する時間などありませんでした。わたしたちは好きで裁判を起こしたわけではありません。そうせざるを得なかったのです。

 突然の解雇通知を受けて以降、わたしたちは事実上、無収入になりました。収入が途絶えることは、有形無形の困難を生みます。十代の子どもを抱えている者、子どもが生まれたばかりの者、妻が妊娠中の者、自身あるいは家族が病気治療中の者がいます。
 研究を続けるためには、研究費を自腹でまかわねばなりません。 大学教員の身分が奪われたいま、公的研究費を得ることはほとんど不可能です。 収入が途絶えた一方で、支出は増えるのです。研究室も奪われました。資料・研究機材は手もとにありません。学識経験者として社会に貢献する場である自治体の委員会活動も、大学教員の身分がなければきわめて困難になります。
 このような有形の困難は、以前から理屈では理解していました。しかし実感はしていませんでした。ここから来る無形の困難、つまりじぶんの、家族の将来に対する強い不安と危機感は、その境遇になってみなければわからないでしょう。
 わたしたちは提訴に際し、法人に無理難題をふっかけているのではありません。社会通念上、じゅうぶんに自然と思われる努力をしてほしいと言っているのです。その願いが妥当であることが、この法廷で明らかにされることを望みます。

以上

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