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2012年08月09日

大学の授業料半額化運動が進む韓国、大学評価学会が日韓シンポを8/31に開催

■大学評価学会
 ∟●大学の授業料半額化運動が進む韓国、大学評価学会が日韓シンポを8/31に開催

大学の授業料半額化運動が進む韓国 大学評価学会が日韓シンポを8/31開催

【ようやく国際社会の仲間入り】
 2012年2月、玄葉光一郎外務大臣は国際人権A規約(社会権規約)13条「教育に関する権利」の(b)(c)の「留保」撤回を表明しました。(b)は中等教育(中学、高校)、(c)は高等教育(大学等)についての「無償教育の漸進的導入」を定めたものです。日本政府が同規約を批准する際(1979年)に、賛同せず留保したことを、ようやく見直すものです。留保していた国のうち、ルワンダは2008年に撤回をし、残るは日本とマダガスカルの2国のみとなっていました(なお、アメリカは批准さえしていない)。
 これで日本も、「無償教育の漸進的導入」についてようやく国際社会の仲間入りをし、前進する足がかりができました。しかし、政府の具体策はまだ定かではありません。今こそ、この変化を実現していくための探究と運動が求められています。

【日本の高学費をどうするか】
 『日本の高学費をどうするか』は、大学評価学会の設立にもかかわった田中昌人氏(京都大学名誉教授)の遺著(新日本出版社、2005年)のタイトルです。大学の年間授業料は、1970年に国立で12,000円、私立平均で82,000円でした。それが現在、国立は53万円余り、私立平均は85万円余りにまで高騰しています。日本の高学費は世界一です。
 その背景には、公財政支出を抑制し、家計(私費)に依存するという人権軽視の「受益者負担」政策があります。進学を断念したり、中途退学することは、珍しくありません。また、世界では当たり前の給付制の奨学金は廃止され、有利子奨学金と称した「教育ローン」が若者に押しつけられているのです。
 教育基本法は「経済的地位」による教育上の差別を禁止し、「教育の機会均等」と「奨学の措置」を謳っていますが、日本において経済的な進学格差があることは周知のことです。

【韓国では授業料半額化の市民運動が】
 お隣の国、韓国でも昨年、『狂った授業料の国』という本が出されました。両国はともに、高等教育費の対GDP比が0.6%(2007年)とOECD加盟国で最下位にあります。その韓国で今、大学登録金(授業料を含む納付金)半額化の大運動が展開されているのです。市民活動家弁護士の朴元淳新市長が昨年誕生したソウル市では、市立大学の授業料の半額化が今年実現しました。また、韓国大学教授労組からは「登録金後払い制」といった興味深い提案もなされています。
 私たち大学評価学会では、2004年の設立以来、「無償教育の漸進的導入」について研究運動を進めてきました。今年の2月には韓国を訪問し、大学関係者や市民団体と交流しました。韓流ブームと言われますが、この面でも韓国から学ぶべきことは多いと思います。

【日韓連帯シンポジウムを8/31に開催】
 今回は韓国から関係者を招いて、「『無償教育の漸進的導入』に関する日韓(韓日)連帯シンポジウム」を開催します(龍谷大学社会科学研究所「大学評価・大学経営研究センター」共催)。韓国側からの二報告(大学登録金半額化の市民運動、大学教育への公的責任の強化策並びに登録金後払い制の提案)の他、日本からも大学教員(国庫助成に関する全国私立大学教授会連合)、教職組(日高教)、学生(京都府学連)が発言し、両国における取り組みの交流を行います(通訳有)。皆様方におかれましても、是非ご参加下さい。
 

シンポジウムは8月31日(金)13時から17時半まで、会場は龍谷大学アバンティ響都ホール(京都駅八条東口、アバンティビル9階)です。参加費は無料です。多数の市民の方々の参加をお持ちしています。問い合わせ先は、龍谷大学細川研究室、 電話・Fax:075(645)8634、e-mail:hosokawa@biz.ryukoku.ac.jpまでお願いします。

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