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2013年06月01日

「緊急!大学問題シンポジウム in 北海道」、集会アピール

■「緊急!大学問題シンポジウム in 北海道」

【集会アピール】

 私たちは、今日の集会を通じて、北海道内の大学が抱える教職員の解雇問題、経営権による教学権の課謁、国立大学における国の統制強化、少子化に伴う私立大学の経営問題、これら諸問題の根底に流れる教育分野における新自由主義の台頭などについて報告し合い、また、その現状を確認し合いました。
 今、「大学の自治」が大き<揺らいでいます。
 日本国憲法第23条は、国民の基本的人権として、「学問の自由は、これを保障する。」と高らかに宣言しています。その保障する具体的内容は、①研究の自由、②研究発表の自由、③教授の自由であり、この自由の制度的保障として「大学の自治」が認められています。大学は、真実発見・学問研究の場として、たとえ時の権力に抗ってでも、その真理の追究を行う場所だからです。自主的な教員人事、施設管理に関する自治は、その根幹をなすものです。そして、「学問の自由」の保障は、大学ぽかりでな<、初等・中等教育においても、「教育の自由」「学ぶ権利」として具体化され、あてはまるものであることから教育基本法も、教育の自主・独立を宣言しています。
 しかし、2004年4月の国立大学法人法施行、私学法改正によって、「大学の自治」は大き<変容しました。
 これら国立大学の法人化と私学法の改正にあたっては、国立大学においては①各国立大学がそれぞれの教育理念に基づいて自主的・自律的な教育研究活動を発展させ、これを国際的水準に高めまた社会的要請に応える、②膨大な国家財政赤字を背景として行財政改革を行う、私立大学においては、私立学校の公共性を高めるため、より一層の私学経営責任の明確化・透明化を進めるとともに、経営規律(ガバナンス)の強化により、助成金等に対する不正・不適切な経理を防止する、という一見もっともらしい目的が掲げられました。
 しかし、これらが、実際に目指したものは、経営体制の確立、責任の明確化の名のもとでの大学の統制でした。今日、報告のあった諸問題は、これらの法律の抱える矛盾が、耐え切れずに噴き出したものといえるでしょう。
 国立大学法人法施行、私学法改正から10年が経過した今、国立大学と私立大学は、その設立経過や目的が異なっているにもかかわらず、運営体制は、類似したものとなってきています。それは、理事者の権限強化です。
 理事者は、迅速な意思決定とリーダーシップ発揮の名のもとに、強力な権限が与えられてきました。しかし、大学構成員による民主的なチェックのシステムが存在しないために、その暴走を止めることができない状況にあります。その結果、大学で教育、研究を進める教員や、それを支える職員の権利が侵害され、学問の自由が脅かされる事態が、多<の大学で生じているのです。今日の報告で、その問題点が確認されました。
 学問研究は、一朝一タで進むものではありません。研究者の身分はもちろん、それを支える職員の身分が、しっかりと保障されていなければ、学問研究は一歩も先には進みません。先に掲げられた目的は、自由で創造的、かつ地に足のついた研究・教育に基づいて達成されます。
 集会参加の皆さん。
 私たちは、今日、道内の多<の大学で、「大学の自治」が労働問題という形で侵されている現状を目の当たりにしました。新自由主義による競争と規制緩和は、「大学の自治」や「学問の自由」ひいては大学人の生存権をも脅かしています。
 学問研究の成果は、新たな文化や技術革新の基底となり、私たちの生活に様々な形で還元されています。決して大学固有の問題ではありません。
 私たちは、大学の自治を実現するためのとりくみを、大学の中だけにとどめることな<、さまざまな分野で貧困、不平等、抑圧とたたかっている人びとと連帯し、ともに学び、社会に自由を実現することとつなげていきたいと願っています。
 大学に働き学ぶ皆さん、市民の皆さん、ともに力を合わせましょう。

2013年5月18日

緊急!大学問題シンポジウム in 北道海

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