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2013年07月04日

京大職組、提訴にあたっての声明

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース2012年度第11号

提訴にあたっての声明

2013年6月17日
京都大学職員組合 中央執行委員会

○ご協力に御礼申し上げます
 京都大学職員組合の組合員計 96 名は、6 月 11 日 15 時半に、国立大学法人京都大学に対し、未払い賃金約 1,200 万円を請求する訴訟を京都地裁に提起しました。第 1 次原告団にご参加くださった組合員のみなさま、支部での運動を率先して進めてくださった組合員のみなさまに心から御礼申し上げます。
○労働法が認めていない高度の必要性の無い賃下げ
 国立大学法人の教職員は公務員ではなく、民間と同じ労働法の適用を受けます。公務員の賃下げが行われたとしても、それと同じ措置を受ける法律の根拠はありません。労働法の基本原則によれば、高度の必要性がない限り、賃下げは許されません。
 京都大学では、外部資金を多く獲得できているため、収入のうち、国からの交付金に依存する率は半分以下になっています。交付金が削減されても、教職員の給料を支払う財政的能力のあることを、法人側は団体交渉で認めています。財政的余裕があるのに賃下げを行うことは、法律に反するのです。
○不明瞭な賃金削減額の使途
 また、法人側は、復興財源確保を賃下げの理由としていますが、実際には、賃下げ分の金額がどこに行ったのかは不明です。しかも、2012 年度と 2013 年度では、国からの交付金の削減額は同じなのに、2013 年度の賃下げ額は 2012 年度の 1.5 倍になりました。このような不合理な措置が許されるはずがありません。
○社会的にも疑問の声が高まる賃金引き下げ
 OECD の調査によれば、日本は GDP に占める高等教育予算の割合が、主要国の中で最低ランクに位置しています。学生の経済的負担も多大なものとなっています。さらに、京都大学を含む国立大学では、私立大学よりはるかに低い賃金で働いている教職員が少なくありません。政府の進める景気浮揚策から考えても、公務員や国立大学の賃下げにはその足を引っ張る効果しかなく、社会的にも疑問の声が高まってきています。
○学生、教職員にとってより良い京都大学を作るために
 法人化によって政府から切り離された国立大学は、毎年考えられないほどの規模で国からの交付金の削減を受け続けています。存続するため、運営における独自の切り詰めを余儀なくされています。国立大学がこのまま政府の要請に唯々諾々と従い続ければ、日本の産業を支え、将来の人材を育成するべき教育・研究機関としての国立大学という制度自体が消滅するでしょう。私たちはこの訴訟を通じて、国立大学のあり方について社会に問題を提起したいと考えます。
 良質な教育環境、高水準の研究、安全な医療を提供するためには、人材の流出しない勤務条件を保障し、大学運営を支える教職員が安心して働けるよう、賃金水準を維持・改善することが大学法人の不可欠の責務です。今回の訴訟提起は、より良い京都大学を作っていく取組みです。また、教職員の賃金引き上げをはじめとする労働条件改善は、団体交渉で実現を迫ります。
 私たちの生活と、労働法の基本原則、そして、国立大学の将来を守るために、1 人でも多くの方々が訴訟に参加してくださるよう、心から呼びかけます。


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