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2013年07月31日

サイト紹介、野中教授「名誉棄損」不当提訴事件-学問研究と表現の自由を守る会のブログ-

学問研究と表現の自由を守る会のブログ

APFファンド・昭和HD経営者による 学問の自由の侵害・恫喝訴訟を許すな!
野中教授「名誉棄損」不当提訴事件への支援をお願いします


 2012年7月、APFファンドによって支配された昭和ホールディングス(昭和HD)の経営者3名が、野中郁江明治大学教授を、論文「不公正ファイナンスと昭和ゴム事件問われる証券市場規制の機能まひ」(雑誌『経済』189号)および昭和ゴム労働組合からの依頼を受けて執筆し東京都労働委員会に提出した鑑定意見書の記述をとりあげ、名誉を毀損されたとして東京地裁に提訴するという事件が起こりました。5500万円という巨額な損害賠償と掲載雑誌への謝罪掲載を求めています。
 問題とする箇所について根拠を示して反論を行うという手続きもふまず、編集権をもつ出版社を訴訟の相手ともせずに、突然に研究者個人に対して多額の賠償金を求める裁判を起こすこと自体、表現の自由、学問の自由を侵害し、民主主義社会を脅かす暴挙です。
 私たちは、APFファンド・昭和HD経営者の不当な提訴を断固として退け、野中教授の研究活動を支え、学術研究と表現の自由を守るために、力を寄せ合うことを呼びかけます。

ファンドの狙いは昭和ゴムの財産?!
ゴム事業に関心なく、不当労働行為を繰り返す


昭和ゴム事件とは
 昭和ゴム㈱は創業1932年、東証2部上場の企業であり、かつては明治製菓グループ傘下の名門企業でした。ところが、2000年以来いくつかのファンドが昭和ゴムを支配し、会社の財産と信用力が失われてきました。
 アジア各国に展開する投資グループAPFは、2008年6月子会社名義で昭和ゴムの第三者割当増資12億4500万円を引受けて、昭和ゴム(その後子会社に分割して昭和HDとなる)の支配権を得ました。
 7~10月の4か月間に、タイにあるAPFの関連子会社2社のPN(プロミサリーノート)27億円を購入するとして資金を流出させました。このPNは譲渡不能であり、貸付の念書のようなものです。
 2010年6月証券取引等監視委員会は、昭和HDに対して架空増資、偽計取引嫌疑により強制調査を行いました。
 その後、APFの関連子会社からは、一定額の返済はなされますが、ほどなく原告の保有株式を購入させられるなど、現金で返済された金額は27億円のうち5億数千万円にすぎません。依然として、事業部門で働く労働者の生活と雇用の不安は続いています。

研究者個人への恫喝による
言論封殺が裁判の目的

 本提訴は、原告の側に提訴の根拠自体が存在せず、言論封殺それ自体が目的であるスラップ(SLAPP)訴訟です。
 スラップ訴訟とは、企業などが自らの不法行為を取り上げ取材活動しているジャーナリストや弁護士、公共団体等に対し名誉毀損で巨額の賠償金を請求する裁判のことです。言論封殺を目的に恫喝・威圧的裁判として行われるためアメリカでは禁止する州もあります。日本では武富士、幸福の科学、読売新聞事件などが有名ですが、論文を掲載した出版社でなく研究者個人を標的にしたものはこれが初めてといえます。

雑誌に発表した学術論文への
不当な攻撃

 野中教授は会社が公表したIR資料、有価証券報告書などの客観的資料に基づき、複雑なファンドの経営実態を解明、「不公正ファイナンスとは何か」、「APFが昭和ゴムを支配し資金を流出させた経緯」を詳細に論述しています。論文は違法状態を排除するための制度の枠組みの現状と課題を取り上げたもので、名誉棄損と指摘する表現行為部分をも含めて、「公共の利害に関する事実」について「専ら公益を図る目的」で発表されたものであり、まったく訴えられるような内容ではありません。

不当労働行為を隠ぺいするために
都労委「鑑定書」を攻撃

 APFファンドによる企業支配に苦しんでいた昭和ゴム労働組合等は、東京都労働委員会に申立てていた不当労働行為救済申立事件の本質と全容を明らかにするため、野中教授に都労委へ鑑定書を依頼。2011年11月16日付鑑定書「アジア・パートナーシップ・ファンド(APF)がもたらした昭和ゴムの経営困難について」は、会計・経営分析の専門家の立場から、昭和ゴム労働組合が抱いている生活や雇用への不安が、APF経営者のもとで行われた巨額な資金流出や虚偽の情報開示にその根拠があることを明らかにしたものでした。

焦点は念書にすぎないプロミサリーノートを
原告は社債と主張していること

 昭和HDの有価証券報告書において原告は「27億円のプロミサリーノートを購入した」と開示してきました。ところが裁判ではこれを「社債であり、正当な投資である」と主張しています。しかし社債の英語はボンドであり、プロミサリーノートではありません。追い詰められた原告は、社債の証拠提出を求められて拒否する始末。原告の主張には全く根拠がないことが明らかになっています。

 野中弁護団は、論文と鑑定書で指摘されている記述がいずれも「真実にもとづく事実」と、「真実にもとづく前提事実にもとづく意見」であり、名誉毀損は根拠のないいいがかりであることを立証した準備書面を提出し、全面対決する方針で闘っています。

APFファンド・昭和HD経営者による不当提訴を許さず、
学問研究と表現の自由を守る会

[連絡先]全労連・全国一般東京地本 TEL:03-3668-5542FAX:03-3668-5544
人形町書記局センター〒103-0033東京都中央区日本橋人形町3-7-13-103
TEL:03-5847-0241FAX:03-5847-0240

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