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2013年10月11日

大阪府市新大学構想会議、「ガバナンス改革について」 学意向投票を実施しない

大阪府市新大学構想会議
 ∟●ガバナンス改革について(2013年10月9日)

ガバナンス改革について

大阪府市新大学構想会議
2013年10月9日

目 次
1. 現行のガバナンス体制の課題
2. 改革の方向性
(1) 法人経営と教学体制の分離
 (2) 学長、教育研究組織の長の選考
(3) 教員人事のあり方
(4) 目標管理と評価
(5) キャンパス戦略

1. 現行のガバナンス体制の課題

・府立大学、市立大学ともに独法化や合理化の過程で、この数年間、運営の仕組みを変えてきた。

・しかし、時代の流れを先取りしたダイナミックな資源(ヒト、モノ、カネ)の重点配分ができるリーダーシップ構築に向けて一層の改革が求められる。

・また、評価(教員活動評価、授業評価など)結果の公開に基づく自律的改善の仕組みや透明性の確保が不十分である。

・ 新大学の設計にあたっては、これらのガバナンス課題を解決できる体制を構築する。

・府立大学及び市立大学の既存の部局の細則や申し合せ等については、学長選考、教員人事に関する大学規則に沿って、廃棄もしくは修正すべきである。

……(略)……

(2) 学長、教育研究組織の長の選考

④ 学長選考の方法

・法人化した大学において、法人の経営審議機関と教育研究審議機関の構成員のうちから選出された者で構成する理事長・学長選考会議の申し出に基づき、設立団体の長が理事長・学長を任命する(地独法71条)。

・理事長=学長の選考に際し、意向投票を行うかどうかは法律や定款事項ではない。選考会議の判断により、国立大学などで行っている例が多いが、公立大学では、大阪市立大学、下関市立大学など数例しかない。

・加えて、現行の市立大学方式は、選考委員の2/3が学内者であり、学内関係者の意向を強く反映する仕組みとなっている。

・府立大学は、法人化を契機に学内の意向投票を廃止したが、市立大学は従来から、学内の意向投票を実施しており、法人化後も引き続きこの手法により実施してきた。

・理事長と学長を分離した場合の学長選考方法も、法人の経営審議機関と教育研究審議機関の構成員のうちから選出された者で構成する学長選考会議の選考に基づき行う、となっている(地独法71条、P7概念図参照)。

学長・理事長分離体制のもとでの学長選考の考え方

1.設立団体との協調
設立団体が策定する中期目標を誠実に実行するとともに公立大学としての大学運営に関し、市民に責任を負える人材を選任すること

2.理事長との協働
理事長と協働して中期計画を効率的に実行し、大学改革をリードする人材を選任すること

3.学内の意向を反映
教育・研究や改革の実際の担い手である教職員のモチベ―ションの向上につながる選考方法であること

4.全学意向投票の廃止
学内部局間、キャンパス間、教員間でしこりを残さないため全学意向投票を実施しない

⑤ 研究院長・研究科長、学部長・学域長等の選考の方法

・市立大学では、学部長は教員による学部運営に責任を負うことから互選で選ばれている。しかし、学部長は、教育研究評議会委員でもあり、学長とともに大学運営を牽引する責任も負っており、任命権は理事長にある。
・府立大学もかつては教授会による選考だったが法人化を契機に改革し、学域長等の推薦に基づき、理事長が選考・任命することとした。学域長等は、当該学域等の専任教授のうちから学域長等候補者として2人以上の者を理事長に推薦している。(推薦方法は問わない。)
・新大学では、研究院長等部局長が2-3人を推薦し、学長がその中から選考し、理事長が任命することとする。(但し、開設時別途検討する。)
・研究院長は、原則として対応する研究科長、学部長・学域長を兼任する。 ただし、対応する学部・学域が複数の場合、または学部・学域、研究科に対応する研究院が多数の場合は、学長が独自に選考し、理事長が任命する。
……以下,略……

大阪府立・市立大統合「学長選廃止を」 有識者会議提言

日経(2013/10/10)

 大阪府立大と大阪市立大の統合のため府市が設置した「新大学構想会議」は9日、統合後の大学では学長選考で教職員による投票を廃止することや、理事長と学長を分離することなどを求める提言を府市に提出した。

 提言は両大学のガバナンス体制を検証。市大は教職員の意向投票結果を尊重して学長を選んでいるが、こうした方法は公立大では数例しかないとして廃止を提言。大学法人の経営審議機関と教育研究審議機関の構成員から選出した選考会議が選び、最終的には首長が任命するよう求めた。

 理事長と学長の兼務もやめ、理事長は経営や改革を担当し、学長は教育研究を担当する体制が望ましいと指摘した。

 市大の学長選考を巡っては、橋下徹市長が8月「全教職員の投票なんか許さない」と述べ、選考方法の見直しを指示していた。


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