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2013年11月07日

早稲田大学がコスト削減で授業を外部委託し“偽装請負”の疑い、労組が労働局に調査申立 必修科目なのに4万3千円追加徴収も

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 ∟●早稲田大学がコスト削減で授業を外部委託し“偽装請負”の疑い、労組が労働局に調査申立 必修科目なのに4万3千円追加徴収も

早稲田大学がコスト削減で授業を外部委託し“偽装請負”の疑い、労組が労働局に調査申立 必修科目なのに4万3千円追加徴収も

林 克明
22:16 11/07


 労組が鎌田薫・早稲田大学総長に宛てた公開質問状。商学部の必修英語授業の外部委託が労働者派遣法に違反する疑いがあることや、「非常勤講師を5年で雇止めすることが教育の質を高める」と大野高裕教務部長が繰り返し団交で述べたことなどに対し質問(全文は記事末尾でダウンロード可)。

 労働契約法改訂にともない非常勤講師の契約期間を最長5年にする就業規則を強行導入した早稲田大学で、新たな火種が発覚した。商学部の必修科目「英語Ⅰビジネス会話」を廃止し、代わりに、同大学の子会社で社長も大学職員が兼務する㈱早稲田総研インターナショナルに授業をアウトソーシング(業務委託)し、「チュートリアル・イングリッシュ」と称する新授業を導入する計画について、偽装請負の疑いが強いのである。請け負う会社の役員は早大教職員が6割を占め、テキスト、成績評価などを大学の専任教員が指揮監督するため、首都圏大学非常勤組合らは10月23日、東京労働局長に対し、偽装請負についての調査と是正勧告を求める申立書を提出した。さらに本件では、必修科目にもかかわらず授業料に4万3千円の履修費用を追加徴収するなど、なりふり構わず金儲けを企む早稲田商法の貧困さが次々と明らかになっている。(質問書、申立書など関連書類はPDFダウンロード可)
【Digest】
◇一週4時限制限の撤廃要求中に発覚
◇必修科目の授業を株式会社に丸投げ
◇請負会社の役員は、軒並み早稲田の専任教員
◇大学設置基準との矛盾はないか
◇早稲田大学問題は関ヶ原の戦い
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◇一週4時限制限の撤廃要求中に発覚

 契約期間の上限を5年にする就業規則は、4000人近い非常勤講師らに衝撃を与えた。また、学内名誉教授らが鎌田薫総長などを東京地検に刑事告発、15名の早大非常勤講師が新宿労基署に刑事告訴したことも、大学界に波紋を投げかけている。
 まずは、混乱に追い打ちをかけるような今回の「偽装請負疑惑」が発覚するまでの流れを説明しておこう。

 「5年でクビ」を定めた就業規則の第11条には、「1週における授業担当時間の上限は4時限を原則とする」という文言が入っていた。同大の非常勤講師の報酬は1時限(1コマ)約3万円。単純計算だが、1週4コマなら、早稲田だけで授業を担当していると年収144万円にしかならない。

 首都圏非常勤講師組合としては、これを撤回させるために団体交渉を求め、結局は専任教員と同じ1週6コマ上限にすることで落ち着いた。ところが、8月23日に実施された団体交渉で新たな問題が浮上したのだ。志田昇書記長が説明する。

 「一方的な就業規則制定によると、非常勤講師の1週間の授業上限を4時限とし、それを徹底させるために6月18日に文書を大学は出してきました。それによると、上限4時限を2018年までに達成することを目標とし、現在1週10時限(全学合計)を超える非常勤講師の授業を2013年中に10時限以下に減らそうとしているのです。
 こうした流れのなかで、商学部で必修科目のビジネス英会話を教える非常勤講師の仕事がなくなるか、あるいは授業数が減らされることになり、これを撤回させようと団体交渉で質問したのです。

 それに対する大学の回答は、授業時間の制限のためではなく、あくまでも『カリキュラムが変わるから』だということでした。授業時間を減らす政策によって『英語Ⅰビジネス会話』担当の非常勤講師が仕事を失うとなると抵抗が大きいため、都合よくもってきたのがカリキュラム変更です。授業そのものがなくなってしまえば、非常勤講師が契約できないのは当たり前、というわけです」

 しかし問題は、その「カリキュラム変更」の中身であり、ここから㈱早稲田総研インターナショナルによる偽装請負の疑惑が湧き上がることになる。
 大学経営サイドの立場で説明したのは、教務部長である大野高裕教授(理工学部・経営工学)である。

 大野教務部長の説明によると、商学部では2010年から基本的なカリキュラムについて検討を始めており、その一環として必修科目の「英語Ⅰビジネス会話」を廃止して、代わりに「チュートリアル・イングリッシュ」という科目に移行するが、その授業をすべて㈱早稲田総研インターナショナルに業務委託する。

 チューターとは少人数クラスを教える個別指導教師のことで、アメリカの大学ではインストラクターの下位の大学講師を指すこともある。彼らによる英語授業を「チュートリアル・イングリッシュ」と称する。この授業は2002年から各学部のカリキュラムに組み込まれるようになったが、商学部にはこれまで導入されていなかった。

◇必修科目の授業を株式会社に丸投げ
 それでは、商学部の必修科目である「チュートリアル・イングリッシュ」の内容と、授業を請け負う㈱早稲田総研インターナショナル(以下、㈱早稲田総研)、そして早稲田大学との関係はどうなっているのか。

 ㈱早稲田総研が外部講師(チューター)を雇い、彼らが授業を行う。しかし、学生を評価する際の権限など、表向きは、早稲田大学の専任教員の名前が表記されている。しかも、.....以下,略……


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