研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2013年11月26日

専修大学道短大不当解雇事件、結審を迎えて

不当解雇された専修大学北海道短大8教員を支える会
 ∟●支える会ニュース、第6号(2013年10月1日)

結審を迎えて

「支える会」事務局長
山本補将

 8人の教員の地位確認(解雇無効)裁判は、9月9日に結審を迎えたことをご報告いたします。
 提訴から一年五か月、会員の皆様のお力添えで、ここまで辿り着くことができました。原告一同に成り代わりまして、深く御礼申し上げます。

 判決は札幌地裁において、12月2日午後1時10分より言い渡されます。

 前号で予告いたしました尋問調書の要約記事ですが、調書自体が関係者以外閲覧できないものであることなどから、掲載を取りやめることといたしました。どうぞご理解下さいますよう、お願い申し上げます。

 調書要約の代わりに、私の傍聴記録を掲載いたします。これは、6月3日に行われた、原告側証人の専修大学北海道短期大学前学長の寺本千名夫氏への反対尋問の傍聴記録です。尋問は、専修大学内の事務所を構える、今村記念法律事務所の宮岡孝之弁護士によって行われました。

反対尋問傍聴記

 反対尋問を行った宮岡弁護士は、学校法人専修大学の理事だそうで、そうならば被告側の一人にあたります。反対尋問を行うに最もふさわしい人物といえなくもありません。もっとも、この人物がどのような経緯で理事になったのか全く明らかにされていません。本来、反対尋問は証人の主尋問や陳述書に沿ったものでなければならないのですが、今回の反対尋問は陳述書とかけ離れた質問が度々なされました。 たとえば短大の今後の方向を検討する「プロジェクト会疹委員から短大の教員を排除したことを弁明し、客観性を持たせて大胆な改革を進めるためには教員が入らないほうが北海道短大のためによかった、などと訳のわからないことを述べました。正直に北海道短大のためによいのではなく法人に都合の良い方向を打ち出すのに最適だからと、言い直して欲しいものだ。短大を最もよく知る教員を排除しておいて、短大のために良い方向など出せるわけがないのです。
 また平成22年4月22日の教授会において学生募集停止報告時に寺本氏がどこにいたかなどという質問なども、主尋問や陳述書と全くかけ離れた質問でした。これから行われるだろう「寺本裁判」のための材料集めを目的にしたとしか考えられない質問がありました。

 新家学長時代の農学部構想について、それがどのような経緯から出てきたのかという事情などは、直接寺本氏には関わりのないことであり、法人で機関決定していないことで非難されるいわれはない。また農学部構想提案時の費用に関して、寺本氏が学長でないときの事情を「もし」という仮定の問いを発して非難をするという悪質な尋問もしていました。さらにまた、法人がそれまで発表したことのない数字をもちだし、寺本氏がそのことを知らないことを持って、学長として不適任であるかのような印象を植え付けようとしました。
 寺本氏が学長に就任したのは、平成22年1月からであり、その年の4月に学生募集停止が一方的に法人で決定されました。学長時代の寺本氏は、閉校へ邁進する法人と対峙し、それとの対応に追われた3年間でした。そうした時に、古い時代にさかのぼって定員を満たしたかどうかを調べる余裕や時間などあるはずもなく、そうする意味もなかったといえます。
 尋問は、平成17年の学科改組にも及びました。宮岡弁護士は、学科改組に短大教員が関わっていることをあげつらい、改組の失敗は短大に責任があるかのように述べています。そもそも学科改組などというのは、新学部や新学科の設立と同様に法人の経営判断でなされることであり、最終責任は法人がとるべきものです。教員が行うのは法人の決定に基づく依頼によってそれを具体化することである。具体案が経営的に見て不十分だと思えば、法人の責任でやり直しを命じればよいのである。もっとも内容的にも平成17年の学科改組案はそもそも無理がありました。たとえば、商経社会総合学科の福祉コースのカリキュラムなどは専門家がいないところで計画されたものであり、最初から破綻していました。そうしたことも法人は気が付いていなかったのです。法人の無責任さの現れといえるでしょう。
 そのほかの悪辣な質問としては、「プレス空知。これは、先はどの決議を受けて、定員が割れれば23年度に学生募集停止が行われるという内容ですが、そういう報道がなされたことは事実ですよね。」というものです。この質問は定員割れの時は学生募集停止が決まっているかのように言い換え、証人から法人に都合の良い答弁を引き出そうとするものでした。この質問には直ちに原告側弁護士から「誤澄だとの異議申し立てがなされた。宮岡弁護士は「じゃ、記事の内容は、『定員割れれば23年度』、短大募集停止の可能性という記事があることは間違いないですね。」と訂正せざるを得ませんでした。もし、先の質問が見過ごされていたならば、寺本証人は窮地に立だされることになったかもしれません。 宮岡弁護士は、知っていながら「可能性」という言葉を省いたと考えられます。 傍聴者には、このような宮岡弁護士の態度は、「お抱え弁護士」とはかかる人物なのだろうという印象を持たせました。法人からすれば良い弁護士なのかもしれませんが。
(支える会事務局長)

|