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2013年12月04日

全大教、声明「特定秘密保護法の制定に反対する」

全大教
 ∟●特定秘密保護法の制定に反対する

特定秘密保護法の制定に反対する

2013年11月28日 全国大学高専教職員組合中央執行委員会  声明

 政府・与党は今国会に「特定秘密の保護に関する法律案」を上程し、会期中に可決成立させようとしています。多くの国民、有識者、団体が反対の声を上げ、福島県議会も全会一致で「慎重な対応を求める」決議しているにもかかわらず、さる11月26日には衆議院の委員会で強行採決の上、同日夜の本会議に緊急上程されて衆議院を通過するなど、今国会で成立する危険性が高まっています。
 この法案は、①政府が防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止などに関する情報であるとして「特定秘密」に指定した情報は、政府の判断で30年間または60年間にわたって主権者である国民にも秘密にし、②その情報を漏らした者や知ろうとした者を厳罰に処するというものです。しかも、何が「特定秘密」に指定されているかさえ、国民には知らされません。さらに、③「特定秘密」を扱う人やその周辺の人々を、政府が調査・管理する「適性評価制度」を導入するとしています。
 これにより、「特定秘密」を取り扱う公務員やその周辺の人々が調査・管理されてプライバシーが侵害されたり、国民に真実を解明し報道しようとする人々が取り締まりの対象とされその活動が萎縮させられたりするおそれがあります。また、自衛隊の海外派遣、米軍基地、原発の安全性や被爆、外交交渉の進捗状況などの重大な事柄ほど「特定秘密」に指定される可能性が高いため、国民の知る権利や主権者としてこの国の将来を選択する権利が侵害されるおそれがあります。また、国会議員の国政調査活動さえ制約され、国民主権の有名無実化が懸念されます。
 この法案にはジャーナリストや言論人が早くから反対の声を上げていますが、実際には大学や研究所で学問研究に従事する私たちもまた、真っ先に管理や取り締まりの対象にされる可能性があります。
 「特定秘密」の指定は政府の判断に任されますから、大学や研究所の研究者は、自分の研究内容や調査対象が「特定秘密」に指定された場合、秘密を扱う者として「適性評価制度」の対象にされかねません。また、「特定秘密」を漏らしたり知ろうとしたりした者として処罰されることにもなりかねません。しかも、何が「特定秘密」に指定されているかさえ分かりませんから、「特定秘密」に指定されていそうな事柄の研究には自己規制を強いられることになりかねません。さらに、仮に刑事告訴されても、「特定秘密」の指定そのものの妥当性を問うこともできないし、弁護士の弁護活動さえ「特定秘密」を知ろうとする行為として処罰されかねません。
 全大教中央執行委員会は、特定秘密保護法案が国民の知る権利・学問の自由を侵害し、国民主権の否定につながるものとして、その制定に強く反対し、廃案を求めます。


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