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2013年12月04日

大阪市立大学、学長選考で意向投票を廃止 外部委員が主導

大阪 開業支援室
 ∟●大阪市立大学の統合問題を考える会

学長選考で意向投票を廃止 外部委員が主導

 大阪市大の理事長(兼学長)選考が告示されました。
 今回の理事長(学長)選考では、定款の変更ができなかったため、理事長・学長の分離はできませんが、外部委員の増員という点では、さしあたって理事長選考会議委員に外部委員を優先し、内実は先取りして、外部の意向できめられるやり方に変えるというものです。
 大阪市大の理事長(兼学長)選考会議は、22日の大阪市議会都市経済委員会で、橋下市長提案の統合にむけた市大の定款と中期目標の変更案が否決される前日21日に、その選任と議事が行われていました。なお、二つの変更議案は、29日の市議会本会議でも、維新以外の全会派の反対で否決されました。
 市議会は市民の意向を反映する面があります。今回の審議では「統合先にありき」「学内、卒業生の意向をちゃんと聞いてほしい」という疑問点が共通して出されましたが、そういう意見にはとらわれないという姿勢が見えます。
 こういう学内および市議会の意向をふまえないやり方は許されるのでしょうか。
 また、学内で、こういうやり方に異を唱える声があがるでしょうか。(T)

(以下、参考まで関連資料を紹介します)

●21日の市大経営審議会議録から
11 月21 日(木)午後1時~1時20分  議長は西澤理事長(学長)
理事長選考会議委員に野村委員、吉川委員、柏木委員を選出。
(外部委員)地元の財界人でもあるので、理事長選考会議にそういう意見をきっちりと反映させるという趣旨から、野村委員を推薦したい。
(議長)在阪の財界人ということで野村委員が推薦されたが、いかがか。
(一同)異議なし。
(外部委員)法制度に詳しい、吉川委員を推薦したい。
(議長)吉川委員に参画してほしいという意見であるが、いかがか。
(一同)異議なし。
(議長)外部委員ということで野村委員、吉川委員の2人が決まった。それでは、定款第10条第6項に基づき、副理事長及び理事のなかから残り1名を選出することになるが、これについては意見はないか。
(内部委員)前回、前々回の理事長選考会議においても、副理事長職が委員に就任しており、今回についても、ガバナンス改革についても詳しく、内容についても理解されている副理事長の柏木委員を推薦したい。
(議長)これまでの事例からも柏木委員が良いのではないかという意見であるが、いかがか。
(一同)異議なし。
(議長)それでは、経営審議会からの委員選出については、野村委員、吉川委員、柏木委員の3名で決定とする。これで経営審議会からの選出者は、全員外部人材ということになる。教育研究評議会から選出された石河委員、鈴木委員、日野委員は内部人材ということになるので、半数は外部人材で占めることになる。これは、ガバナンス改革の提言を先取りした形になろうかと思う。

●第一回理事長選考会議録から
11月21日(木)午後1時30分~3時20分
互選で、柏木孝議長、野村正朗議長職務代理者を選任。  (いずれも外部人材)
理事長選考方法について、従来の手法にとらわれることなく、大阪府市新大学構想会議による「ガバナンス改革について」の提言の趣旨を踏まえ、推薦を受けた候補者から理事長を選考する方針を決定。後日メール会議にて第2回理事長選考会議を速やかに開催し、承認することとした。
(これまでの理事長選考規程は、 その趣旨で“市大定款に基づき理事長選考会議が行う市大の理事長の選考に関し必要な事項を定めるものとする”とさだめ、本文は「(意向投票の実施)第5条 理事長選考会議は、理事長の選考に当たり、法人内の意向を調査するため、意向投票を行う」というように、記述の大半を意向投票の方法にあてていました)。
今回は、橋下市長の意向をうけて学内の意向投票を廃止し、選考会議が被推薦者を選考して、理事長候補一人にしぼり、その者を「法人の申し出に基づき」市長が任命するというものです。

会議録では興味をひく議論もあります。
・意向投票廃止は、「学内でのしこりを残さない」からと理由づけしています。さすがに橋下市長が、教授の意見など聞く必要がないと公言していることはあげづらかったでしょう。
・一方で、「選考会議が落とした人に、どう理由を説明したらいいだろうか。これまでは投票数できまっていたからそれでよかったが」との意見も。
・関係者の共感をえられるかどうかは心配になるようです。
「意向投票が大学自治のなかで続けられてきた。今回、教員に理解してもらえるだろうか」。
・「今回、異例な人が推薦される可能性はある」「ちゃぶ台をひっくりかえしてしまうとか」「大学は統合する必要がないという候補が出るかもしれない。所信表明は、こちらの設問に答える形にしてはまずいか」。
・露骨ないい方も。「今回は、ガバナンスの先取りだ」。
・定款はどうなるのか。
・継続審議にでもなれば、またややこしい。(……否決されましたけど)


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