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2013年12月06日

東京私大教連、「大学のガバナンス改革の推進について(素案)」に対する意見

東京私大教連
 ∟●中教審大学分科会組織運営部会「大学のガバナンス改革の推進について(素案)」に対する意見

中教審大学分科会組織運営部会「大学のガバナンス改革の推進について(素案)」に対する意見


2013年12月1日
東京私大教連中央執行委員会


◆私立大学の現状に対する無理解について

 素案は、私立大学の現状に対してあまりにも無理解であると言わざるを得ない。財界による一面的な主張を前提にしており、客観的な現状分析を著しく欠いている。教職員組合をはじめとする大学関係者による開かれた議論を行うべきである。
 「はじめに」において、「権限と責任の所在が不明確ではないか、大学として意思決定するまでに時間がかかり過ぎるのではないか、といった疑問となって、近年、経済界等から大学のガバナンス改革の必要性について問題提起されるようになっている」と述べ、経済同友会の「私立大学におけるガバナンス改革-高等教育の質の向上を目指して-」を出典として挙げている。経済同友会の同提言に対しては、理事長の権限の無条件の拡大を要求する暴論であり、様々な批判が提示されている。財界の主張を検証なく前提とすることはやめるべきである。

 素案は随所で、「…指摘がある」として実証的な現状把握もなしに、大学を経済活動に従属させようとする財界の声高な主張の受け売りに基づいて、拙速な「ガバナンス改革」を実施しようとしていることは重大な問題である。

 私立大学を設置する学校法人のなかには、創立者一族が学園経営・大学運営の実権を握り続けている「一族支配」の学校法人や、理事長の「ワンマン支配」による私物化と専断的な学園経営・大学運営が行われている学校法人が存在する。こうした学校法人においては、教授会は教学事項に関しても審議権・決定権を奪われ、学長は理事長が任命するか、もしくは理事長が兼任するなど、非民主的な管理運営がなされている。不祥事の多くはこうした大学において発生している。
 素案が提起する「ガバナンス改革」は、「高等教育の質の向上」につながるどころか、一部私立大学の専断的経営をいっそう助長し、私立大学の不祥事をいっそう多発させる事態を招くものである。

……以下,略……


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