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2013年12月06日

全大教、「ミッション再定義」による文部科学省の大学自治への介入に抗議

全大教
 ∟●全大教新聞、294号(12月)

 2012年6月に文部科学省が発表した 「大学改革実行プラン」の中に位置づけられていた「ミッションの再義」は、先行する教員養成と医学、工学の3分野の作業が終了し、その概要が「国立大学改革プラン」言月26□)に含まれました。
 当初、「国立大学が自主的・自律的に自らの機能の再構築により機能強化を図る」とされていましたが、特に教員養成分野においては、文部科学省が求める「項目立て」と「数値目標」を強制的に書き入れさせるという介入を行ってきました。全国の教育学部へ教職大学院を一律に設置させるという強制や各大学の自主性を無視し。「強み」や「特色」「社会的役割」を踏まえない改革や数値目標の強制は、国民への不利益を招きかねない事態になると考えられます。法定手続きを経ることなく行政の判断のみで事を進める文部科学省に、大学自治および大学の自主性・自律性を尊重する姿勢を強く求めます。

運営費交付金、補助金を通した誘導の教化すすむ

 2013年3月1日に文部科学省が発表した、「国立大学改革強化推進補助金」(2012年度)の選定結果では、国際的な知の競争が激化する中で、大学の枠を超えた連携の推進や個性・特色の明確化等を通じた国立大学の改革を推進するとしています。
 なかでも秋田大学では、「国際的資源の世界的教育拠点形成及び次世代型学部運営の体現」として、国際資源学部の新設を機に、「次世代型運営スタイル」が採用されるとされています。教授会の役割を、学生の入学・卒業・試験・厚生補導に限り、教員採用・昇任・予算等の重要事項は、学外の関係者(民間企業の専門家・研究者)も含む「連携運営パネル」で行うこととするなど、これまでの教授会自治を蔑ろにした学部運営のスタイルがとられることになっています。
 また、京都大学では、「グローバル化に対応した教学マネジメントの組織改革」の一環として、国際高等教育院の設置が進められています。そこにはいくつもの重大な問題を含んでいます。これまで行われてきた教養教育改革の議論とは関係なしに、教養教育とグローバル化を推進する「教育院」の設置が突然に提案され、従来教養教育を担ってきた部局の教授会の反対を押し切って設置が決定されたこと、また、新規に外国人教員IOO人を採用するとしており、そのための文科省からの補助金による人件費支給は一年目だけで、二年目以降は各部局の定員ポストを供出させて雇用継続するとしていること、さらに、社会的な要請に対応するとして、従来の部局を学長の決定権のもとで教員人事を行う教員組織と教育研究組織に分離するという全学組織改革を提案してきていることなどです。

 11月26日(火)、文部科学省は「国立大学改革プラン」を公表しました。第3期中期目標期間に目指す国立大学の在り方として、各大学の機能強化のためとして、◆教育研究組織再編のための資源配分の見直し、◆スパーグローバル大学の創設、◆留学生支援、◆ベンチャー支援・理工系人材育成、◆人事・給与システムの弾力化、◆ガバナンス改革(学長リーダーシップの強化)を掲げています。


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