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2013年12月10日

東京私大教連、秘密保護法案の強行採決に抗議する声明

東京私大教連
 ∟●秘密保護法案の強行採決に抗議する声明

秘密保護法案の強行採決に抗議する声明

1.12 月 6日深夜、政府・与党は野党の反対を押し切り、参議院本会議において秘密保護法案を強行採決して可決成立させました。国民の知る権利を大きく制限して軍事国家化への途をひらく同法案に対しては、国内外を問わず各界各層の反対の世論が日増しに沸騰してました。国会ではすべての参考人が反対・慎重意見を述べたにもかかわらず、それを一顧だにせず採決を強行した政府・与党に対し、私たちは大きな怒りをもって抗議します。

2.国会での審議は、衆参両院ともに拙速かつ強権的に行われ、アリバイづくりにひとしい地方公聴会開催をその前夜に一方的に強行議決するなど、数の驕りとしかいいようがない横暴な国会運営に終始しました。原発や食品の安全に関する情報も特定秘密に指定される可能性があること、第三者に伝えないことを条件に外国からもたらされた情報は国会から求められても提出できないこと、さらに「不正取得罪」をめぐっては、記者や市民が明確に特定秘密と認識していなくても、取得するかもしれないという「未必の故意」が成立すれば罪に問われる可能性がある等、次々と新たな問題が審議を通じて明らかになりました。
 こうしたなか、法案の全容が国民に知られる前に採決を急ぐために、安倍首相は 12月4日に「保全監視委員会」「情報保全諮問会議」「独立公文書管理監」を政府内に置くと表明し、翌5日には内閣府にも「情報保全監察組織」を新設するなどと述べましたが、いずれも法には明記せず、客観性・独立性が極めて疑わしい泥縄式の対応としか言いようがありません。安倍内閣は6日の閣議で民主党の質問趣意書に答え、特定秘密の廃棄について「秘密の保全上やむを得ない場合、政令などで公文書管理法に基づく保存期間前の廃棄を定めることは否定されない」とする答弁書を決定しています。重要な公文書が、政権の思惑ひとつで廃棄され永遠に闇に葬られる危険性があります。

3.今回成立した秘密保護法は、私たち大学教職員にとっては、「知る権利」に立脚した「学問の自由」を根底から脅かす法律でもあります。罰を怖れて外交や安全保障等にかかわる情報収集・調査活動を躊躇するような風潮が生まれ、学問研究に大きな支障をきたすことが懸念されます。秘密保護法は、大学の社会的責任を十全に果たすことを阻害する法律であり、大学と学問が国策に服従させられた戦前の軍国主義国家体制の再来をもたらす稀代の悪法だと言わざるを得ません。

4.さらに、市民のデモ活動をテロと同視した石破自民党幹事長の暴言は、「テロの防止」を名目に特定秘密の範囲を際限なく広げ、平和的な市民・労働組合の運動さえ監視・抑圧し、国民の思想・信条にまで介入しようとするこの法律の本質を露呈させるものです。秘密保護法案は成立しましたが、研究と教育を日常的に担う大学教職員としての良心にもとづき、私たちは今後とも同法の廃止を求めて運動をすすめる決意です。

2013 年12月7日

東京私大教連中央執行委員会

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