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2013年12月12日

東京大学職員組合、特定秘密保護法の強行可決に抗議する声明

東京大学職員組合
 ∟●特定秘密保護法の強行可決に抗議する声明(2013年12月11日)

特定秘密保護法の強行可決に抗議する声明


 多くの国民の強い危惧と反対が示される中、12 月 6 日の参議院本会議で特定秘密保護法案が強行的に可決・成立しました。
 東京大学職員組合では、法案の内容に反対する立場から、すでに、法案の廃案を求める委員長名の緊急声明を発表しています。この緊急声明でも指摘した通り、今回成立した特定秘密保護法には多くの問題があります。
 第 1 に、同法は、国民の知る権利と報道の自由に対して重大な制約をもたらす危険があります。同法の「特定秘密」の概念は曖昧、不明確であり、その範囲は広範囲に及びます。その結果、処罰範囲が曖昧、不明確かつ広範囲となる危険があり、国民の知る権利と報道の自由に対して重大な脅威をもたらすものとなっています。
 第 2 に、同法は、学問の自由に対しても重大な危機をもたらすものです。学術研究の基礎にあるのは、自由な情報の取得・開示と自由な学術的交流です。曖昧、不明確かつ広範囲の情報秘匿とそれに結びつけられた刑事罰の威嚇は、大学の最も根幹的な理念である学問の自由と相いれないものです。とりわけ本学の教員は、学術的な研究成果を社会に還元する活動の一環として、政府の審議会等に参加する場合も少なくなく、そのような場面で、本学の教員の本質的に学術的な性格を持つ活動や意見表明が制約され、あるいは、適性評価の対象となって各種のプライバシーが侵害される危険性には強い危惧を覚えます。
 さらに、同法は、広く国民主権に基づく民主主義にとっても重大な危機をもたらすものです。民主主義は、主権者である国民が政府の活動に関する情報を広く取得し、それをめぐり自由な監視・討議を行うことのうえに成り立っています。広範囲にわたる「特定秘密」の「保護」は、政府の活動に関する情報を国民から覆い隠し、国民の監視と批判、国民のあいだの闊達な民主的討議の機会を奪うものです。同法の成立に至る政府・与党の強引な国会運営は、このような危惧をすでに現実化しているといえます。
 私たちは、学術機関である東京大学でさまざまな活動・業務を行う者として、国民の基本的人権を侵害し、学問の自由や民主主義に対しても重大な危機をもたらす特定秘密保護法の強行可決に強く抗議し、同法の速やかな廃止を求めます。

2013年12月11日
東京大学職員組合

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