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2013年12月25日

論文盗用否定、「出勤停止不当」 教授が金沢大提訴

中日新聞(2013年12月24日)

 指導する大学院生の論文を盗用したとして出勤停止一年の懲戒処分を受けたのは不当として、金沢大(金沢市)の男性教授が大学を相手取り、処分の無効と、出勤停止の期間に受け取るべき給与や慰謝料など総額約千五百万円の支払いを求める訴訟を金沢地裁に起こしたことが分かった。
 訴えによると、院生は北陸地方の高等専門学校に勤める男性准教授。教授は二〇〇九年四月に指導教員となり、論文の作成を提案した。
 しかし院生は同年七月、うつ病を理由に入院。教授は他の研究者の協力を得ながら、加筆修正を重ねた。論文は同年九月に完成。院生は勤め先の高専を病気で休み、大学も休学していたが、教授は復職と復学を見込んで院生の名前を著者に加え、論文を国際誌に投稿した。
 論文は一〇年十月に採択されたが、院生の体調は回復していなかった。入院した〇九年七月以降、一度も大学に登校できず、論文作成に関われなかった。
 教授は院生をはじめ、高専の上司や他の研究者らに相談。「長期にわたって休職・休学しているにもかかわらず、研究が継続し、論文を投稿する行為は説明がつかない」と判断し、それぞれの同意を得た上で、採択後の校正段階で著者から外した。
 教授の代理人弁護士によると、懲戒処分は今年九月二十日付。「院生が独自で作成した未発表論文」と位置付けた上で「本人の同意はなく、盗用にあたる」と判断している。
 代理人は「院生独自の論文ではない」と反論。採択後の最終段階で著者から外した行為に「院生の体調、勤め先でのす立場を考慮した」と訴える。
 大学は教授の懲戒処分を公表していない。担当者は本紙の取材に「個別の案件についてはコメントを差し控えます」と回答。教授の提訴については「訴状が届いているか、届いていないのかも含め、現時点ではお答えできません」と話した。

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