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2014年01月08日

専修大学教員解雇を容認する不当判決

北海道合同法律事務所
 ∟●「北の峰」第74号(2014年新年号)

専修大学教員解雇を容認する不当判決

弁護士長野 順一

 二〇一三年一二月二日、札幌地裁(民事第一部)は、専修大学が、専修大学北海道短期大学(美唄市)の学生募集停止・廃止を理由として、北海道短大の教員八名を整理解雇したことについて、被告専修大学の主張をほとんどそのまま採用して、解雇を有効とする不当な判決をしました。
 被告、学校法人専修大学は、二〇一〇年四月二一日、学生数の減少を理由として、専修短大の募集停止を決定し、定年退職、任意退職等による退職をせずに残った八名の教員全員を二〇一二年三月付けで整理解雇しました。
 被告は、専修短大の学生募集停止を決定するにあたり、専修短大の教授会の決議すら経なかったばかりでなく、地元美唄市や周辺自治体の意見を聞くこともせず、地元の理解を得る努力も何もしませんでした。
 しかも、私立大学が学生募集停止・学校廃止をする場合に、教職員の雇用の確保の措置を事前に講ずべきことは、文部科学省からも求められているにもかかわらず、事前に何の措置も講じなかったばかりか、募集停止決定後も、専修大学教員の一般公募枠で五名を採用した以外は、若干の退職金の上積みによる任意退職の募集を行っただけで、他にはほとんど何の努力もせずに、残った教員全員を解雇しました。
 ところが、判決は、「被告法人全体の財務状況が悪化しつつあった」などという被告の言い分をそのまま採用して、予算をつけて短大教員の採用を専修大学の学部に要請することすらしなかった被告の対応も「理由がある。」などと正当化し、また教員の配置、採用は「教学事項」であって、被告(理事会)には決定権はないとの理由で、ほとんど解雇回避の名に値しないような措置でも、「解雇回避努力」をしたといえるなどとして、整理解雇が有効であるなどとしました。
 しかし、被告専修大学は財務状況も優良であり八人の教員の雇用すら確保できないような財務状況には全くありません。
 また被告は、「教学事項」を□実にして雇用確保の措置をとらなかっただけで、実際予算を確保して各学部に教員の採用を要請することは、教学権の侵害になどなりません。
 このような、専修大学経営者の無責任な立場をそのまま容認する、今回の判決は、到底許されるものではありません。控訴審で、この不当判決を覆すために、原告のみなさんも弁護団も、全力で頑張る決意です。


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