研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2014年03月28日

佐賀大学退職金引き下げ無効訴訟第2回口頭弁論ならびに報告集会について

全大教
 ∟●佐賀大学教職員組合「退職金引下げ無効訴訟 第2回口頭弁論」

佐賀大学退職金引き下げ無効訴訟第2回口頭弁論ならびに報告集会について

 去る3月7日(金)、佐賀地方裁判所にて、佐賀大学退職金引下げ無効訴訟の第2回口頭弁論が行われ、またそれに引き続いて、報告集会が開かれましたので、以下にご報告申し上げます。
 口頭弁論は同日午前 10 時 30 分より、佐賀地裁第一法廷にて行われました。原告側からは、原告の豊島耕一氏(元佐賀大学教職員組合員)と同訴訟弁護団(東島浩幸、梶原恒夫、桑原健、八木大和の各弁護士)が出廷しました。一方、被告の国立大学法人佐賀大学からは弁護士2 名の出廷がありました。原告の応援には、福岡教育大学、大分大学、九州大学の組合員の方も駆け付けてくださいました。また、「佐賀県内のすべての労働者の賃金削減阻止共闘会議」からも大勢の方々に傍聴においでいただきました。約 30 名の傍聴がありましたが、その9 割方は佐賀大学教職員組合の組合員やその他、原告側の応援の方々でした。
 開廷が宣せられた後、裁判官から被告弁護人に対し、準備書面提出の遅れに関して、苦言が呈されました。これは前回の口頭弁論において、2 月 15 日までに提出する約束がなされたにもかかわらず、実際に提出されたのは今次口頭弁論前日の 3 月 6 日、しかも裁判所閉庁後の 18 時 32 分であったことを踏まえての指摘です。これに対し、法人側弁護人から釈明の言葉、ならびに原告弁護人から遺憾の意の表明がありました。続いて、次回口頭弁論の日時が4 月 11 日(金)15 時からという予定が立てられ、審理は終了しました。
 閉廷後、佐賀県弁護士会館に会場を移して、角縁佐賀大学教職員組合書記長の司会により、報告集会が開催されました。参加者は約 30名でした。同組合委員長の鈴木から開会の挨拶と、関係諸団体・支援者への感謝の言葉があった後、原告の豊島氏から提訴の意図の説明と、組合に対する励ましの言葉がありました。
 次いで、東島浩幸弁護士より、第 2 回口頭弁論のポイントについて懇切丁寧な説明が行われました。東島弁護士によりますと、今回提出された準備書面に示された佐賀大学法人の言い分は以下のように要約されるとのことです。すなわち、 ① 国立大学法人は純然たる民間企業とは異なるがゆえに、労働契約法第10 条は今回の事例には直接適用されない。 (裁判所へ向かう原告と支援者) 退職金は国から 100%拠出されており、国の基準が変われば、法人もそれに連動して、変更を行わざるをえない。②国から大学に渡される運営交付金の使途は前もって決められており、それを退職金などの人件費に振り替えることは許されない。③佐賀大学が平成22 年から23年にかけて、約 23 億円の純利益を上げているのは事実であるが、その内の 20 億円は附属病院収入によるものである。この利益は附属病院の改築や医療機器の更新に充てるものであり、人件費に転用する財政的余裕はない。④佐賀大学の全経費に占める人件費の割合は56.4%であるのに対して、同等規模を有する他の国立大学の割合は平均 51.6%である。そうでなくとも高い佐賀大学の人件費率を、更に上げるわけにはいかない。⑤教職員、゚半数代表、組合等への説明や協議は十分だったとは言えないが、文科省からの要請が急であったため、それも致し方なかった。
 これらの諸点について、東島弁護士は鋭い論駁を加え、法人側の主張がいかに論拠薄弱であるかを詳らかにしました。また同弁護士から、法人からの準備書面の提出が大幅に遅れたのは、退職金削減決定時に法人が事前に十分な検討を行っていなかったことの何よりの証左であるとの指摘がありました。すなわち、十分な検討を経た上での止むをえない措置ではなかったため、今になって理論的根拠付けに腐心しており、準備書面の作成に時間を要したものと推察されます。
 ポイント説明について質疑応答が交わされた後、全大教から報告があり、退職金削減の緩和措置を取っている大学が複数存在し、その事実は退職金問題の扱いは、各大学法人の裁量に委ねられる余地があることを示している旨の指摘がなされました。次に全大教九州から、他の国立大学等における訴訟の動向が紹介されました。続いて、福岡教育大学教職員組合より、現在進行中の不払い賃金請求訴訟について報告をいただきました。大学法人側は予算的余裕が十分ありながら、国民の税金であるため、自由に使えないなどと主張して、賃金削減を正当化しようとしているとの話でした。大分大学教職員組合からは、不当労働行為救済申し立て審問について現況報告が行われました。現在、労働委員会から和解を提案されているが、法人側は和解に応じる気色はないとのことです。最後に、「佐賀県内のすべての労働者の賃金削減阻止共闘会議」からご発言いただきました。公務員バッシングの横行する昨今、裁判闘争のみに頼ることなく、広く世論の支持と理解を得るための運動こそが大切であるとのことです。参加者の間で活発な意見と情報の交換が行われ、大変有意義な報告集会となりました。所要時間ヘ1時間30分ほどでした。
 このたびは大勢の方々に傍聴、ならびに報告会にご参加いただき、誠にありがとうございました。4月11日(金)15 時から予定されております第 3 回口頭弁論にも、更なるご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

|