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2014年03月19日

自由法曹団、「生涯派遣・正社員ゼロ」を強要する労働者派遣法大改悪案の国会提出に抗議し、改悪案の廃案を要求する声明

自由法曹団
 ∟●「生涯派遣・正社員ゼロ」を強要する労働者派遣法大改悪案の国会提出に抗議し、改悪案の廃案を要求する声明

「生涯派遣・正社員ゼロ」を強要する労働者派遣法大改悪案の国会提出に抗議し、改悪案の廃案を要求する声明


1 安倍内閣は、2014年3月11日、労働者派遣を無期限・無制限に使用できるようにする労働者派遣法「改正」案を閣議決定し、同日、国会に提出した。
 「改正」案は、専門26業務の区分及び業務単位での期間制限を撤廃したうえ、有期雇用派遣労働者に係る労働者派遣について、「派遣先は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。」と定めている。他方、「改正」案は、「派遣先は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、事業所の過半数労働組合もしくは過半数代表者の意見を聴いて、3年の派遣可能期間を延長することができる。その後3年が経過した場合も、同様とする。」と定めている。
 「改正」案は、無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣、有期の事業の開始、転換等のための業務等への労働者派遣には、派遣期間制限を一切設けないとしている。

2 これでは、有期雇用派遣労働者に係る労働者派遣についても、派遣先は、事業所の過半数労働組合等の意見を聴取しさえすれば、過半数労働組合等が反対しても、無期限に労働者派遣を使用し続けることができる。結局、派遣先は、組織単位(課等)が同一でも、3年ごとに派遣労働者を入れ換えて、無期限に労働者派遣を使用し続けることができる。また、派遣先は、組織単位(課等)を変えれば、同一の派遣労働者を無期限に使用し続けることができる。
 「改正」案のもとでは、無期雇用の派遣労働者はもとより、有期雇用の派遣労働者であっても、派遣先に直接雇用され、正社員になる機会はほとんどなくなり、生涯派遣労働者のままに置かれることになる。派遣先は、低賃金の派遣労働者を無期限・無制限に使用できることになり、正社員の派遣労働者への置き換えを飛躍的に促進するであろう。「改正」案は、「生涯派遣・正社員ゼロ」を強要するものであり、廃案しか選択のみちはない。

3 「改正」案は、労働政策審議会の建議の「派遣労働を臨時的・一時的な働き方と位置付けることを原則とする」、「派遣先の常用労働者(いわゆる正社員)との代替が生じないよう、派遣労働の利用を臨時的・一時的なものに限ることを原則とする」との提言を一切無視し、まったく取り入れていない。また、「改正」案は、建議の「派遣労働者に対する雇用安定措置」のうち、「派遣先への直接雇用の依頼」を除外している。
 労働法制の改定は、公労使3者からなる労働政策審議会の提言に基づいて行うのが原則である。「改正」案は、労働政策審議会の建議すら無視しており、この点からもとうてい容認できない。

4 自由法曹団は、安倍内閣による「生涯派遣・正社員ゼロ」を強要する労働者派遣法「改正」案の国会提出に抗議し、ただちに「改正」案を廃案にすることを強く要求する。
 自由法曹団は、「改正」案の廃案を要求し、「登録型派遣・製造業派遣の全面禁止、労働者派遣の臨時的・一時的業務への限定、派遣労働者と派遣先の正社員との均等待遇」等の労働者派遣法の抜本改正のため、奮闘する決意である。

2014年3月18日

自由法曹団
団長 篠原義仁

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