研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2014年03月20日

政府の教育再生実行会議で続く学制改革論議

全私学新聞(2014年2月13日号)

政府の教育再生実行会議で続く学制改革論議
「論点」が徐々に浮上  意見聴取や学校視察等も実施

 政府の教育再生実行会議(座長=鎌田薫・早稲田大学総長)は2月18日、総理官邸で17回目の会合を開いた。議題は、学制の在り方で、これまでの議論や視察を踏まえた「学制の在り方にかかる論点」(別掲)と「これからの教育の在り方、特に義務教育や無償教育にかかる論点」(別掲)が示された。今後、論点に沿って検討が進められる。

 昨年10月31日の第14回会合から始まった学制改革論議は、概ね月に1回のペースで行われている。これまでに、6・3・3制の下で世界を舞台に挑戦する主体性と創造性、豊かな人間性を持つ多様な人材が育っているかの検証の必要性、教育の画一的な取り扱いから脱却し、それぞれの子どもが各自の能力を伸ばせる柔軟な対応を認める制度づくり、義務教育期間の延長、高校教育では知の向上に加え、社会的ルールを守る意味と責任を理解させる規範意識の育成が重要、経済的な困難さがあっても大学まで進学できる方策の必要性等の意見が出されている。

 また、「学制の在り方にかかる論点」には、特に子供の発達の変化等を踏まえ、義務教育の在り方やその期間、学校段階の区切りなどが挙げられており、「これからの教育の在り方、特に義務教育や無償教育にかかる論点」には高校教育の義務教育化、無償化、幼児教育の義務教育化、無償化等が挙げられている。

 さらに1月16日の第16回会合では、無藤隆・白梅学園大学教授から子どもの発達段階と学校教育に関して説明を受けており、小学校の教育を5歳から導入することに関して無藤氏は、半分くらいの子どもが落ちこぼれるため、厳しいのではないか、それを義務教育と呼ぶか、呼ばないかは別として、幼児教育の中身の質の向上が必要で、教員の研修は不可欠と語っている。また、幼稚園ではベテラン教員が少ないことから、幼児教育への投資を増やして教育の質を上げる方向を目指してほしいと語っている。この席で、安倍総理は義務教育については期間延長の可能性を視野に入れ教育基本法から9年との規定を削除し、学校教育法に委ねることとしたと語り、義務教育の幅広い観点からの丁寧な議論が必要との考えを示している。また下村文部科学大臣兼教育再生担当大臣は、委員に学制改革論議の中で、財源論も含め議論してほしい、と語っている。

 教育再生実行会議では、学校関係者からの聞き取り調査や学校現場の訪問も実施しており、本年1月20日には、東京都教育庁の関係者と委員との間で意見交換会や、都立戸山高校の授業視察等を実施しており、都教育庁関係者からは、学力スタンダードの設定、グローバル人材の育成、チャレンジスクールなど多様なタイプの学校の運営などについて聴取している。国際社会に貢献するトップリーダーの育成をミッションに掲げる戸山高校では学習指導における工夫等に関する説明を受けている。


|