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2014年04月03日

福岡教育大学、これでいいのか、学長選考! これでいいのか、情報公開!

新首都圏ネット
 ∟●福岡教育大学教職員組合ニュース,No.14

これでいいのか、学長選考! これでいいのか、情報公開!
―「疑惑」の情報開示期限延長とその結末―


 周知の通り、2013年 11 月 26 日、学長選考会議は、同日の教職員による意向投票結果を即座に覆して、第 1 位に大差をつけられ第 2 位に甘んじた寺尾愼一氏を学長候補者としました。組合は、このような到底受け入れがたい学長選考会議の決定に対して、抗議のための声明を出し、またビラ配布を行いました。しかし、学長選考会議は、選考理由を説明するどころか当日の会議記録すらいっこうに公表しようとはしませんでした。そこで、組合は、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」(以下、「情報公開法」)に則り、2014 年 1 月 16 日付で学長宛に「法人文書開示請求書」を提出し、「平成 25 年度第 8 回学長選考会議議事概要」の開示請求を行いました。

 ところが、「樟の葉」13 号でもお伝えしたように、法人側は、情報公開法 10 条 1 項が開示請求から30 日以内と定める開示期限当日の 2 月 17 日になって、「開示請求のあった当該文書の作成に関しては、当該会議において内容を確認した上で作成することとなっていることから、現段階では未作成であるため」という全く理解不能な理由により、開示期限を30 日後の 3 月 17 日に延長する通知をしてきました。確かに、一般論として、情報開示期限延長の例外的措置は、情報公開法10 条 2 項の「事務処理上の困難その他正当な理由があるとき」には可能ですが、今回のケースは、これには該当しません。学長選考から開示請求までには 2 か月近くが経過していたのであり、この間に学長選考会議が法人文書としての会議記録を作成することが「事務処理上の困難」を伴うものでないことは、法人側も認めざるを得ませんでした。それにもかかわらず、学長選考会議が会議記録を作成せず、そのために速やかな情報開示ができなかったとなれば、このことは、むしろ情報公開法における法人文書の開示義務を根底から骨抜きにするものであり、開示期限延長のための「その他正当な理由」というにはあワりにも無理があります。そして、このような事態を招いた責任は、法人文書の開示義務を課された法人の長である寺尾学長が最終的に負うことになります。

 そもそも、寺尾学長は、原則30日以内という開示期限を遵守する努力をしたのでしょうか。今回のケースでは、情報公開法が開示義務の例外とするような情報(例えば個人のプライバシーにかかわる情報)が含まれていることは考えにくく、開示の可否について難しい判断を迫られるような場面は、まったくなかったはずです。したがって、会議記録が作成されてさえいれば、寺尾学長がこの簡単明瞭なケースを速やかに法人の情報公開・個人情報保護委員会の審議に付したうえで、即座に開示できたのであって、ごく簡単に済む話だったはずです。

 ところで、寺尾学長は、2 月 20 日の文科省での辞令交付式の翌日に開かれた教育研究評議会において、別件に関してですが、「これまで用心していたが、昨日辞令をもらったので、もう心配はなくなった」という趣旨の発言をしています。もし寺尾学長のなかに「次期学長の辞令をもらうまでは、用心のために学長選考会議の記録を開示するのはやめておこう」という意識があり、これが会議記録の作成遅延、そして開示期限延長につながったとすれば、学長選考過程に関してなにかやましいものを感じていたのではないかと疑いたくもなりますし、なにより情報公開法に違反することにもなります。

 こうした「疑惑」の開示期限延長をほぼ最大限に活用したあげく、法人は、ようやく 3月 13 日に「平成 25 年度第 8 回学長選考会議議事概要」を開示してきました。これをみると、わずか 50 分程度の会議とはいえ、そして「議事概要」であるとはいえ、法人の最高責任者の選考に関する審議記録としてはあまりに簡素で素っ気ないものとなっています。また、学内電子掲示板を見る限り、法人のスケジュール表にも学長選考会議が開催された形跡はまったくなく、どこの誰がどのような権限と手続によりかくも重要な法人文書を作成したのか不透明なまま、ぬぐいようのない不信感を呼び起こします。学長選考から情報開示に至るまでに4か月になろうとする時間を費やした結末がこんなことになり、「これでいいのか、情報公開!」と怒りを通り越してあきれるばかりです。

 またしかし、このような貧相な開示内容からでも、学長選考過程がいかにずさんなものであったかを垣間見ることができます。学長選考規程では、「学長選考会議は、…所信表明等を基に、…意向投票の結果を参考にし,学長候補者を決定する」となっているにもかかわらず、「あくまで意向投票は意向投票になっており、教職員の意向に関わらず、学長選考会議で決定する」といった意見が幅をきかせ、規程を無視して選考手続が進んだことが見て取れるからです。それが証拠に、所信表明はおろか、意向投票について、これらを審議し吟味した形跡が議事概要には全くありません。しかも、50 分の会議時間には、学長候補者に決定した寺尾氏本人と面談して就任受諾を得る手続も含まれていますから、学長候補者を決定するための実質的な会議時間は、さらに短かったことになります。このように、私たちがそれぞれ強い思いを持って投じた「清き一票」は、私たちひとりひとりの尊厳もろとも、いとも簡単に土足で踏みにじられてしまいました。

 「これでいいのか、学長選考!」という怒りの念は今や確信と変わりましたが、これからも、組合は、粘り強く、できることを、すべきことを続けていきます。

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