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2014年04月19日

「大学長に決定権」明示、文科省改革案 教授会の権限限定

■朝日新聞(2014年4月17日)

 大学長のリーダーシップを強化する制度改革案を文部科学省がまとめた。重要事項の決定権が学長にあることを明確にしたことが大きな特徴だ。グローバル人材の育成など大学の国際競争力を高め、教育の質の向上につながる改革を進めやすくするのが狙いだ。
 文科省は17日、学校教育法と国立大学法人法の改正案を自民党部会で示した。大学のガバナンス(統治)の在り方を変えるため、学長の改革を妨げるとの批判があった教授会の権限を限定することなどが柱。今国会に提出する予定だ。
 文科筈によると、教援会の役割は、国公私立大全てに関係する学校教育法に「重要な事項を審議する」と規定されているだけで実質上、運用は各大学に委ねられていた。
 そのため、大学や学部の運営や予算などについて、本来は学長が決めるはずなのに、「議決」という形で教授会が決定権を持つケースがあった。こうした場合、学長が海外大と入学時期をそろえる「秋入学」の導入や、学部新設などをしようとしても、教授会に反対されれば、なかなか改革が進められなかった。
 学校教育法の改正案では、教援会の役割を「審議する」から「学長に意見を述べる」と表現を改めた。さらに、意見できるのは「学生の入学、卒業、修了、学位授与」についてか、「学長が必要と認めた」場合に限定。すべての決定権が学長にあることを明確にした。
 副学長には学長の改革を後押しする役目を担わせた。学長の指示を受けた事柄について「校務をつかさどる」と定め、現行の「学長の職務を助ける」よりも指導力を強めるのが狙いだ。
 国立大学法人法の改正案には、学内人気や多数派工作だけで学長が選ばれないように、選考基準や結果を公表することなどを盛り込んだ。事前に誰がふさわしいかを聞く「意向投票」を禁止すべきだといった声が自民党内にあったことにも配慮し、付則に「制度全体について検討し必要な措置を講ずる」との表現も入れた。

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