研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2014年04月23日

福岡教育大学教授の監事宛「公開質問状」

福岡教育大学の学長選を考える会
 ∟●公開質問状 

【福岡教育大学教授・西崎緑氏からの投稿を再掲します。シェアは、大歓迎です。よろしくお願いいたします。】

福岡教育大学の西崎です。本日、監事に対して公開質問状を提出しましたので、この場を借りてアップさせてください。

昨年度、私は、原発事故からの自主避難者の会、ふわりネットワーク福岡との協働事業として、福岡・佐賀に在住する自主避難者のへのアンケート及び聞き取り調査を行いました。

このうち、聞き取り調査については、当事者から「聴く力」をつけること、また生活困難と社会状況との関わりを見通す力を身につけ、さらに当事者の生活環境改善を図る力をつけること、という教育目標を設定して学生に関わらせました。(言うまでもないことですが、これは、当該授業の目標と一致しています。)

学生達は、それぞれの取組の中で、みごとにその目標を達成し、環境改善については、地域社会の中で支援する方法を実現可能なレベルまで煮詰めて提案してきました。私は、この授業に参加した学生全員の努力を高く評価し、彼らを誇りに思っています。

こうした取組については、自主避難者の当事者から、「自分たちが本当に必要だと思っていることをよく理解し、本当に役立つ支援策を考えてくれて嬉しい」と高く評価されました。また、それをまとめたブックレットを読んだ教育、福祉、歴史の研究を専門とする他大学の教授から非常に高く評価されています。今年5月にハワイで開催されるアメリカの学会で、アメリカ在住の社会学者がその内容を発表することになっています。

マスコミも3月で東日本大震災および原発事故から3周年となるのにあたり、自主避難者の問題に強い関心を示し、朝日、毎日、西日本の各紙が記事として載せたほか、NHK, TNC, テレQも取材報道を行っています。

これらの報道を広報するために大学のホームページで広報したところ、おそらくは反原発を目の敵にする一部のツイッター族によりバーチャルな世界の中で批判が行われました。

みなさんもご存じのように、ツイッターは匿名であり、なりすまし可能です。私のメールアドレスは公開されていますが、ついぞ私のところには直接批判は届きませんでした。

そして、3月20日、広報活動を管理する広報企画室で問題を検討することなく、突如、大学はこの記事とPDF版のブックレットをホームページから削除してしまいました。この事実は、他大学の教員から私に知らされました。

さらに3月31日、人権教育推進委員会において、総務財務担当理事が悪意を持ってこのブックレットをとりあげ、監事がそれに追随する発言を行ったということでした。

以下に見られるように、安高監事は、自らを素人である、と称しておきながら、この取組を「質が低い」と断じています。

教職員から支持されていないのに学長になった学長のみではなく、理事や監事までもがおかしいのではないか、と疑問に思わざるを得ません。

そこで、私は以下のような公開質問状を提出しました。福岡教育大学の学長選を考える会の皆様にも、是非、この状況を知って、この大学の運営について考えていただきたいと思い、アップさせていただきました。

2014年4月17日
国立大学法人福岡教育大学
監事 安髙澄夫 殿

福岡教育大学
教授 西﨑 緑

2014年3月31日開催国立大学法人福岡教育大学人権教育推進委員会での
貴職の発言についての公開質問状

ご存じの通り、国立大学法人法は、国立大学法人に置く監事の職務内容について、「国立大学法人の業務を監査する」ものとし、また、「監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、学長又は文部科学大臣に意見を提出することができる」としています(第11条第4項及び第5項)。そして、監事の職務上の義務については、「①独立性の保持に努めるとともに、常に公平不偏の態度を持ち、正当な注意を持って監査を行なうこと、②役員、教職員との意思疎通をはかり業務運営の実施状況を把握するとともに、課題の認識を深めること、③意見の形成に際しては他の監事と協議して、よく事実を確認し合理的な判断をすること、ただし、監事間の協議は各監事の権限の行使を妨げるものではないこと、④秘密を保持すること、さらに、⑤国立大学法人等の健全な発展と統治・統制・遵奉体制の確立・運用のために監事監査が不可欠であるという意識を醸成すること」(国立大学法人東京工業大学監事 国立大学法人等監事協議会会長 冨浦 梓「国立大学法人等における監事の役割と責任」より )とされています。特に業務執行と業務監査の関係については、「監事が業務を執行するのではないことに留意する必要があります。(中略)特別な事情がない限り、教育研究の個々の内容には学問の自由の原則に配慮して立ち入らない方がよいと考えています」(同上「国立大学法人等における監事の役割と責任」より)と理解されており、要するに、独立性・第三者性・中立性を確保しつつ、学問の自由に配慮し適正な手続に基づき職務を遂行することが強く要求されています。

これらの点を踏まえた上で、2014年3月31日開催の国立大学法人福岡教育大学平成25年度第9回人権教育推進委員会において貴職が「私は素人ではあるが、これは質が低い」と私の教育研究活動を不当に否定的に評価した発言について、下記の通り質問をさせていただきますので、4月23日までに文書にてご回答くださいますよう、お願い申し上げます。

なお、貴職の発言内容については、現時点ではその公式記録が法人から公開されておりませんので、複数の同席者から確認いたしました。したがって、万が一、質問内容と発言内容に齟齬がありましたら、回答にてご説明ください。また、本質問状は、国立大学法人法における監事の職務執行状況という公共的にきわめて重要な事項に関するものであることから、広く学内外に公開することといたしますので、その旨ご承知おきください。

    記

1.貴職は、人権教育推進委員会で取り上げられた私の件について、授業での学生の社会的な取り組みが新聞・テレビで報道されたことを本学ホームページにおいて広く社会に発信するという、大学として当然の広報活動の一環であったことをご存じでしたでしょうか。また、当該ホームページの記事を確認し、その内容を正しく把握されましたでしょうか。

2.上記1のホームページ記事は、インターネット上で言われなき誹謗中傷を受けるや、法人が広報企画室による審議及び私に対する聴取等の適正な手続を経ることなく短慮のうちに削除するところとなりましたが、貴職は、監事という立場から、この点をコンプライアンスの問題としてどうお考えでしょうか。

3.貴職は、そもそも人権教育推進委員会の構成員ではなく、監事として列席しているに過ぎないにもかかわらず、同委員会において私の件につき積極的に発言し、その議事に少なからず影響を与えておられます。これは、法人の業務執行に介入しその当事者となる行為であり、貴職自らが監事に要求される第三者性・中立性に違背しているというほかありませんが、この点についてどうお考えでしょうか。

4.上記3の点を措くとしても、監事は、あくまで組織体としての国立大学法人の業務を監査するのであって、貴職のように大学教員である私個人の教育研究活動に正当な理由なく立ち入り、そのうえ一方的にこれに否定的な評価を加える公的発言をなすことは、学問の自由を侵害し、監事としてのコンプライアンスを大きく損なうものというほかありませんが、この点についてどうお考えでしょうか。

5.私の件が人権教育推進委員会において取り上げられ、そのうえ、貴職に加え学長及び理事から私の教育研究活動に対して否定的評価を加える公的発言が相次いだにもかかわらず、このような不利益的な取り扱いを受けた私に対しては、事前に一切の告知や聴取が行われていません。これは、私に対する適正手続の保障を欠いた人権侵害行為であり、貴職は、監事としての独立性・中立性を放棄し学長及び理事と一体となって当該行為に関与したというほかありませんが、この点についてどうお考えでしょうか。

以上


|