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2014年04月26日

大学改革 学長の権限強化、改正法案を閣議決定

毎日新聞(2014年04月25日)

 政府は25日、大学学長の権限強化を柱とした学校教育法などの改正法案を閣議決定し、国会に提出した。学長のリーダーシップを強めて大学改革を促すのが狙い。これまで役割があいまいで「改革の阻害要因」とも指摘されていた教授会は、学長の「諮問機関」的位置付けとして役割を明確化。学位授与など一部に制限した。来年4月の施行を目指す。大学教授らからは「学長を『独裁化』させる改正だ」と反発の声も上がっている。

 国公私立のすべての大学が対象になる学校教育法は、これまで教授会の役割を「重要事項を審議する」としか規定しておらず、各大学の裁量で運用されてきた。教育課程や教員人事の「教育研究分野」だけでなく、学部・学科の廃止、キャンパス移転など大学運営や予算に関する事項についても事実上決定権を持つ例も少なくない。そのため「学長が改革しようにもリーダーシップを発揮できない」との指摘があった。

 改正案は、教授会の役割を、学生の入学・卒業、学位授与のほか、学長が必要と判断した事項に「意見を述べる」と制限した。また、学内の「教職員投票」が反映されるなど不透明とされてきた学長選考を見直すため、国立大学法人法も改正案を提出。選考基準を定めて公表を義務付けた。大学内外を問わず、優秀な人材の登用を促す狙いもある。

 これに対し、全国の大学教職員らが改正反対の署名活動を始め、大学教員を中心に2200人を超す署名が集まり反発が広がっている。呼びかけ人の一人、松田正久・愛知教育大前学長は「学長に権限を与えれば改革がうまくいくというのは幻想だ」と批判している。【三木陽介】

学長主導の大学改革促す 関連法改正案を閣議決定

日経(2014/4/25)

 政府は25日、学校教育法と国立大学法人法の改正案を閣議決定した。学長主導による大学改革を促すため、多くの大学で運営に大きな影響力を持つ教授会の権限を限定。国立大学では重要事項を審議する会議の過半数を外部委員とし、チェック機能を強める。今国会に提出し、2015年4月の施行を目指す。

 国公私立の全ての大学が対象となる学校教育法は教授会の役割を「重要な事項を審議する」と規定しているが、表現が曖昧だった。中央教育審議会の部会は昨年12月、「教授会の審議が大学経営に関する事項まで広範に及び、学長のリーダーシップを阻害しているとの指摘がある」と文部科学省に提言していた。

 改正案では、教授会の役割を「審議する」から「学長に意見を述べる」に改め、学長の諮問機関としての位置付けを明確にした。教授会の審議事項も「学生の入学、卒業、修了、学位授与」のほか「学長が必要と認めた場合」に限定した。

 中教審部会は審議事項について、教育課程の編成や教員の教育研究業績の審査を含む4項目とすることを提言したが、学長や学長経験者から「細かく法制化すると、現場の自由度が奪われる」との意見が多かったため、学生に関わること以外は学長の裁量に委ねる。

 現行法で「学長の職務を助ける」と定めている副学長は「(学長の)命を受けて校務をつかさどる」と変更。中教審部会の提言に沿う形で副学長に一定の権限を与え、学長を補佐する機能を充実させる。

 国立大学法人法改正案では、国立大の予算編成などを審議する「経営協議会」の外部委員数を現行の「2分の1以上」から「過半数」に改める。外部委員と内部委員の数が同じ大学が多い現状を見直し、外部の意見が大学運営に反映されやすいようにする。

 国立大学長が学内投票や多数派工作だけで選ばれないようにするため、学長選考の基準や結果の公表も義務付ける。学長選考を含む国立大の組織運営については改正法施行後も随時、検討するという付則も盛り込んだ。

「教授会」役割限定 改正案決定

NHK(4月25日)

政府は25日の閣議で、学長主導で大学改革を進めるため、多くの大学で事実上の意思決定機関となってきた「教授会」の役割を限定するなどとした学校教育法の改正案などを決定しました。

中教審=中央教育審議会はことし2月、急速なグローバル化が進むなかで、各大学が国際競争力を高めていくには、学長のリーダーシップのもとで戦略的に大学を運営できる体制づくりが不可欠だとする報告をまとめました。
これを受けて政府は25日の閣議で、学校教育法と国立大学法人法の改正案を決定しました。
このうち学校教育法の改正案では、学長主導で大学改革を進めるため、多くの大学で事実上の意思決定機関となってきた「教授会」の役割を見直し、教育研究に関する事項を審議し、学長に「意見を述べる」ことに限定するなどとしています。また、国立大学法人法の改正案では、学長の選考の透明化を図るため、選考の基準や結果を公表することを義務付けるなどとしています。
政府は、これらの改正案を今の国会で成立させたいとしています。


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