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2014年05月15日

富山国際大 元教授の論文盗用認定

読売新聞(2014年05月14日)

 富山国際大(富山市)の元教授(82)(資源工学)が同大地域学部教授だった2001年、大学が発行する紀要に掲載した論文の中で、他の研究者の著書を盗用していたことが13日、わかった。著者から指摘を受けた大学当局は先月、盗用を認めて著者に謝罪し、紀要から論文を削除するとともに、元教授の名誉教授称号を剥奪した。

 同大などによると、盗用が指摘されたのは2001年3月発行の「富山国際大学地域学部紀要」創刊号に掲載された元教授の論文「資源・環境・リサイクル―循環型社会をめざして―」。

 43ページの論文のうち15ページ分が、循環資源研究所(東京)の村田徳治所長(79)の著書「最新リサイクル技術の実際」(1993年、オーム社刊)の記述とほぼ一致していた。章の順序を入れ替えた以外は、章・節の題や図表もそのまま使用し、引用文献の記載もなかった。

 村田所長が今年3月、大学のホームページ(HP)で公開されている論文を見つけ、大学に盗用を指摘。同大は学内規定に基づき、中島恭一学長ら5人で構成する調査委員会を設置し、元教授への事情聴取などから盗用を確認した。

 元教授と大学側は4月に村田所長を訪問し、謝罪した。中島学長によると、元教授は「引用文献を示したつもりだった。軽率だったと痛感している」などと反省しているという。元教授は04年3月に退職しているため、懲戒処分の対象にはならない。

 同大は4月23日、HP上からこの論文を削除し、「大学の教育・研究者としてあるまじき行為。不正に気付くことなく、紀要を公開し続けたことを深くおわび申し上げる」とする謝罪文を掲載。紀要を送付した約200の大学などに紀要の破棄を求めた。

 中島学長は取材に対し、「著者と出版社にご迷惑をおかけした。再発防止に全力を挙げたい」と話した。教職員に倫理綱領の順守を徹底させ、今後は紀要の投稿者に対し、盗用などがないことを確認するチェックリストに記入させるなど再発防止策を講じるという。

 村田所長は「引用したなら参考文献として載せるのは常識。丸写しして自分の主張のように書いているのは、今の時代にあり得ないことだ」と憤っている。


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