研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2014年05月16日

破産免責でも構わず延滞金つけて猛烈回収する日本学生支援機構、内部記録に不実記載の疑い

My News Japan

破産免責でも構わず延滞金つけて猛烈回収する日本学生支援機構、内部記録に不実記載の疑い

三宅勝久(05/15 2014)

 官製学生ローン「日本学生支援機構」による非道な回収がまた発覚した。多重債務に陥り自己破産・免責決定を受けた北海道の女性に対し、多額の延滞金をつけて「一括で払え」と裁判を起こしてきた。女性は「奨学金」を借りているとは知らず、破産の債権者リストにも載せていなかった。後に知ったところでは、自分が高校生のときに、子(自分)の名義で親が借りており、途中で返済に行き詰まっていた。民法の規定によれば、こういう場合、通常は免責になる。しかし学生支援機構は裁判の中で「意図的に債権者届けをしなかった。免責にならない」と頑強に主張。はたして判決は、女性の全面勝訴となった。そして機構が証拠提出した内部記録に、事実無根の記載がされている疑いが濃厚となった。カネの亡者と化した日本学生支援機構の手口をお知らせする。(判決文はPDFダウンロード可)

【Digest】
◇雪の日にやってきた債権回収会社
◇延滞金にこだわる日本学生支援機構
◇自力ではじめた裁判
◇手書きの準備書面
◇破産法253条1項
◇奨学金業務システムに疑問
◇自力で裁判やって全面勝訴の快挙
◇雪の日にやってきた債権回収会社

 北海道在住の女性Aさん(30歳代)の自宅に突然見知らぬ男が訪ねてきたのは2010年2月、雪の降る寒い日のことだった。コートを羽織った男は債権回収会社の社員だった。

 A子さんが高校在学中に借りた日本育英会(日本学生支援機構)の「奨学金」が返済できていない。延滞金と併せて払ってほしい――男はそういう趣旨のことを言った。

 元金26万円に延滞金10数万円。併せて40万円近くの借金があるという。寝耳に水の話だったので、A子さんは正直に言った。

 「奨学金のことは知りませんでした」

 親に確かめて事情が判明した。15年前、A子さんが高校に入学したとき、子どもの名義を使って、親が「奨学金」を借りていた。通学の交通費にあてるためである。借りた金額は3年間で48万円。返済は月々4000円あまりを9年かけて返す計画で、これも親がやるつもりだった。だが4年ほど払った後、2004年9月以降、払えなくなってしまった。後述するとおり、家庭内の問題や多額の借金に追われるうちに「奨学金」どころではなくなり、すっかり忘れられていた。

 その払い残しが、時間を置いて延滞金とともにA子さんに回ってきたのだ。

 債権回収会社の男に対してA子さんは、「知らなかった」という事実とともに、こうも伝えた。

 「2007年に自己破産しているんです」

 自己破産――A子さんにとっては辛い過去だった。父母は幼いときに離婚し、母親に引き取られた。やがて再婚したが、養父となった男はギャンブルにのめり込み、多額の借金をつくって家族を不安に陥れた。母親とともに、A子さんは借金の肩代わりをさせられた。

 高校を卒業すると母親は離婚し、A子さんも養父と離縁した。肩代わりした借金は、消費者金融などに500万円以上。A子さんは働き始めた..


|