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2014年05月16日

首都圏大学非常勤講師組合、学校教育法改正案反対緊急声明

首都圏大学非常勤講師組合
 ∟●学校教育法改正案反対緊急声明

首都圏大学非常勤講師組合
学校教育法改正案反対緊急声明

学校教育法改悪は断固阻止!!
~新しい大学自治の創設のために~


2014 年 5 月 13 日
首都圏大学非常勤講師組合委員長
松村比奈子


 安倍内閣は 4 月 25 日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。この法案の問題点は、現行学校教育法 93 条の「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」という規定を破棄し、教授会を「学長が決定するに当たり」「意見を述べる」だけの機関に変質させるということです(全国大学高専教職員組合中央執行委員会・日本私大教連中央執行委員会の各反対声明より)。

 教授会は、憲法第 23 条が定める「学問の自由」から導き出される「大学の自治」を担う機関として、これまで教育・研究に関する重要な事項についての審議・決定権を有してきました。しかし法案は、教授会を実質的な諮問機関とし、学長によるトップダウンの大学運営を確立しようとしています。また経営協議会の学外委員を「二分の一以上」から「過半数」とし、学内の意向を軽視した大学運営を行おうとしているようです。

 非常勤講師は同じ大学教員でありながら、学問の自由や大学の自治からは遠い存在でした。大学職員も近年はこの傾向が強まっています。また大学内に任期制が導入されて非常勤講師のみならず教員の多くが大学の運営から排除され、この傾向は急速に拡大しました。その悪しき集大成が今回の学校教育法改正案と推測されます。この法案が成立すれば、大学の教育・研究に関する意思決定から、ほぼすべての実質的大学関係者が締め出されるという、異常な状況が政府によって強制されるのです。これは、非常勤講師としても見逃すことのできない憂慮すべき事態です。

 1997 年、第 29 回ユネスコ総会において「高等教育教員の地位に関する勧告」が採択されましたが、そのⅢ基本原則の 8 において「高等教育教員を代表する組織は、教育の発展に大いに貢献することができる力並びに第三者及び他の利害関係を有する者と共に高等教育政策の決定に関与すべき力としてみなされ及び認められるべきである」と明記されています。しかし日本では、非常勤講師を代表する者どころか、ほとんどの利害関係者がこの改正によって学内行政から実質的に排除されるのです。

 首都圏大学非常勤講師組合は、この法案に断固反対いたします。ユネスコの勧告にあるように、高等教育教員を代表する組織は、高等教育政策の決定に関与すべき力として認められなければなりません。そのためには単に現在の教授会を守るというだけではなく、新しい、あるべき大学の自治に向けて多様な利害関係者の声を聴く仕組みを構築しようではありませんか。その第一歩として、我々は、この法改正をあらゆる手段において全力で阻止することを、ここに表明いたします。


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