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2014年05月22日

野中先生勝訴! 「スラップ訴訟」退けた

新日本出版ブログ
 ∟●野中先生勝訴!「スラップ訴訟」退けた

野中先生勝訴!「スラップ訴訟」退けた

5月19日、東京地裁・判決出る
「学問研究と表現の自由を守った」

本誌論文(2011年6月号・掲載)をめぐって、ファンド会社・APFが、筆者の野中郁江・明治大学教授を、名誉棄損(損害賠償金5500万円)で訴えていた裁判は、5月19日、午前11時45分、東京地裁530号法廷で、判決が言い渡されました。

開廷一番、村上正敏裁判長は、「原告らの請求及び被告の請求をいずれも棄却する」「訴訟費用は…」と主文を読み上げました。その間、1分たらずで閉廷。
その判決文は全体として、不当な名誉毀損の訴えを退け、野中先生の主張を認めたもの。「勝利判決と言ってよいものだ」(徳住弁護士)、「この判決は、学問研究と表現の自由を守った大きな成果だ」(上条弁護団長)といえるものです。
傍聴につめかけた支援者は、1年9カ月におよぶ裁判、支援運動を取り組んできてよかったという感動に包まれました。

野中論文は「公益を図る目的で執筆」、
「重要な部分について真実である」と認定

12時半から、会場を移して開かれた「勝利判決報告集会」は、部屋いっぱい(80名ほど)の参加者でうまりました(写真)。
冒頭、徳住弁護士が判決文の概要を紹介。

(★判決文の全文は、こちらからダウンロードできます。PDFファイル、1.7MB)
https://www.dropbox.com/s/rwvm2bpe1erajku/nonaka_hanketsu%2820140519%29.pdf

(『経済』野中論文が)「公共の利害に関する事実に係るものであることは当事者間に争いがない」(★15ページ=判決文のページ数)。
「本件論文は、専ら公益を図る目的で執筆されたものというべきである」(★15ページ)。
(野中論文は)「その表明する意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったということができる」(★19ページ)。
(論文には、原告の求める名誉毀損の)「免責事由があると認められるから、不当行為が成立するとはいえない」(★19ページ)。

徳住弁護士は、このように被告側の主張点を、ほぼ全て認めたことは、重要な勝利判決であると評価しました。

一方、野中先生の反訴=「本訴の提起が不法行為に当たる」についての判定。
裁判所の判断は、「訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められたときに限られると解するのが相当」という最高裁判決を引いて、「著しく相当性を欠くと認めることはできない」(★20ページ)と棄却しています。
本件が「スラップ訴訟」であるとの判断には踏み込まず、入り口のところで棄却した形になりました。

弁護団、参加者、『経済』編集部の発言から

集会の中では、弁護団の先生方から、こもごも発言がありました。
上条弁護団長からは、「学問研究と表現の自由に指一本触れさせなかった画期的な判決」であり、あわせて原告側の主任弁護士が本日の判決言い渡しの裁判を欠席したことを批判されました。
その後、本裁判の「学問と研究の自由を守る会」、私大教連、日本科学者会議、昭和ゴム労組、昭和ゴム労組支援共闘会議の代表などから、これまでの争議、裁判をふりかえり、野中先生への感謝と今後への決意の発言が続きました。
『経済』編集部からは、次のような挨拶をさせていただきました。
「論文の目的の公益性を認め、論文の前提となる事実の真実性を認めたことは画期的な判決といえるのではないか。悪徳ファンドがこの判決を認めるか控訴をしてくるか分からないが、さいごまで野中先生と心一つにしてがんばりましょう」。

スラップ訴訟の完全勝利をめざし
6・17大集会へ

地裁判決が出て、2週間以内に控訴がないと、判決が確定します。悪徳ファンド側がどう出るのか、予断を許しません。一方、反訴が棄却されたので、それへどう対応するかは、今後相談することになっています。
いずれにしても、悪徳ファンドのスラップ(恫喝)訴訟を許さず、学問研究と表現の自由を守るたたかいは、引き続き気をゆるめることはできません。

6月17日、裁判・完全勝利、APFファンドを追い詰める大集会を開催します。
(午後6時半~、明治大学リバティホール=東京・御茶ノ水)
多くの参加者で、社会的にアピールし、裁判勝利を確実にしましょう。


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