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2014年05月25日

東北大前総長・研究不正疑惑 元教授ら、大学に監査請求

河北新報(2014年05月24日)

 井上明久東北大前総長の研究不正疑惑で、「実験の再現性を確認し、不正はなかった」と結論付けた大学の報告書に画像データを改変した跡が見つかったとして、同大の元教授らが23日、事実確認や報告書の撤回を求める監査を大学に請求した。
 監査請求したのは、同大名誉教授の斎藤文良氏、矢野雅文氏ら4人。県庁で記者会見した斎藤氏らは「再現性の論拠とされた画像の改ざんは明らか。不正はないとした結論は破綻している」と訴えた。
 東北大は2007年、井上氏の研究に不正があるとの告発を受け、対応委員会が検証し、報告書をまとめた。
 報告書は、直径30ミリの円柱金属ガラスを作製したとする井上氏の1996年論文について「実験の再現は可能」と結論。その論拠に、井上氏の共同研究者が07年に実験した30ミリ金属ガラスの作製手法を挙げ、その仕組み図を96年論文と「同じ原理の作製法」として添付した。
 しかし、この図は共同研究者の許可なく一部が加工されており、斎藤氏らは「再現性を認めるための意図的な改ざんだ」と批判。科学的にも96年論文と同じ原理の実験とはいえないと指摘する。
 加えて共同研究者は、07年の研究論文そのものを後に取り下げている。
 「30ミリ金属ガラスの作製を再現」と題して報告書に掲載された写真についても、共同研究者が旋盤で加工した試料であり、金属ガラスとは断定し難いと指摘している。
 図の改変は、4月に結審した井上氏の研究不正をめぐる損害賠償訴訟の控訴審で、共同研究者が認めている。
 東北大は「監査請求の文書は預かったが、監事が不在で内容を確認していない」と話した。

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