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2014年06月02日

札幌学院大学教職員有志、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める声明

全国国公私立大学の事件情報
 ∟●札幌学院大学教職員有志声明

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める声明

札幌学院大学教職員有志
共同代表  経済学部教授 片山一義
同上    法学部教授 家田愛子
   同上    法学部教授 神谷章生
同上 社会情報学部教授 小内純子

 現在,「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が国会に提出され,審議が進められている。私たち札幌学院大学教員有志は,本改正案が以下に述べる理由により,憲法が保障する「学問の自由」「大学の自治」を破壊するものと考え,廃案を求める。
 教育基本法改正案は,①92条4項で副学長の役割に,学長の「命を受け、校務をつかさどる」を追加したこと,②93条において,教授会を「必置」から単に「置く」にとどめ(同1項),教授会の役割を「重要な事項を審議する」から「学長が」「決定を行うに当たり意見を述べる」に変更する。そして意見を述べる「事項」については「一 学生の入学、卒業及び課程の修了 二 学位の授与 三 教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるもの」の三項目に限定した(同2項)。
 これまで,わが国においては,国家権力及び私的経営者による「金銭の支配力」への対抗手段として「学問の自由」が憲法によって規定され,それを制度的に保障するものとして①設置者(学校法人の理事会などの機関)の解雇権からの自由,②研究・教育事項(何をいかなる方法で,どのように教えるかなど教育研究内容)に関する自主決定権(設置者・雇主の業務命令,職務命令からの自由),③大学,研究機関の財政自治権という3つ権利内容が重視された。すなわち「大学の自治」,その中心となる教授会自治の保障がそれである。現行学校教育法93条が,大学において教授会を必置機関とし,「重要な事項」を審議すべきと定めた理由もそこにある。そして,「重要な事項」の中には,当然ながら上記「学問の自由」を制度的に保障する教員の人事権,教育研究全般に関わる学校経営事項,予算の審議等の事項が含まれると解釈され,その結果,実際多くの大学でも,人事権を含むこの種の「重要」な事項が教授会審議事項と定められ,運用されてきた。
 今国会提出の学校教育法改正案は,教授会を「必置」機関から外し,単なる意見聴取機関に変容させるもので,学長の独断決定を可能とする大学運営の改変を狙いとする。このようなユネスコ「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」にも反するような,教授会自治の破壊,「学問の自由」を完全否定する上記法案に対して,われわれは廃案を強く求めるものである。

2014年5月31日


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