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2014年06月03日

北海道大学教職員組合、声明「学校教育法及び国立大学法人法の改悪に反対する」

北海道大学教職員組合
 ∟●学校教育法及び国立大学法人法の改悪に反対する

学校教育法及び国立大学法人法の改悪に反対する


現在開催中の第 186 回国会に、去る 4 月 25 日「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」(内閣提出法案第 80 号。以下、改正案と称する)が提出され、現在審議中である。同改正案は、次の各点で現行の学校教育法及び国立大学法人法の改悪に当たると我々は判断する。すなわち、
 1.改正案は、現行の学校教育法第 93 条の改正として、学長の権限を大幅に強化する一方、教授会の権限を大幅に縮小しようとしている。この改正は、憲法第 23 条で保障されている学問の自由を実質あるものとするために不可欠なものである、大学の自治を、大幅に損ないかねない。
 2.改正案は、「学長選考会議が定める基準」という表現を使用して、学長選考に関する基準は学長選考会議が定めるのだと明文化することによって、学長選考に関して現在多くの大学で行なわれている意向投票等の民主的な慣行は学長選考において無視されてよい、ということへの法的な裏づけを与えようとするものであり、大学の自治との関連で重要な、大学における民主的な雰囲気を大きく損なうものである。
 3.改正案は、国立大学法人法第 20 条に従って設置されている経営評議会の委員の過半数が当該国立大学法人の役職員以外の者でなければならないとしており、大学経営における大学関係者・当事者の意向にそぐわない経営に道を開きかねない。
 そもそも今回の改正案は、具体的にどのような事情から法改正が必要とされるかという点(いわゆる立法事実)が学問的分析に基づいて明確にされることのないまま、もっぱら産業界からの要請・圧力に従った形で出てきており、科学性を欠いている。北海道大学の現状に照らしても、今回の改正が必要だとは考えられない。企業と同様にトップダウン方式の経営体制を強めることが、果たして大学という、本来的に多様な関心に基づいてそれぞれの部門が多様な動きを示すべき組織体にとって、適合的かどうかは、極めて不確かである。多くの場合、大学は、営利を旨とする企業が担えないことをこそ担うのが自らの使命であり、その場合、その組織原理が企業の組織原理と異ならざるをえないのは自明だからである。企業と異なるものである大学のあり方を真摯に考えた結果だとは到底言いがたい今回の改正案が、法律となって実施されることは、将来の日本社会に対して多大な禍根を残す可能性が否定できない。
 以上に鑑みて、我々は今回の改正案に反対する。

2014年5月28日
北海道大学教職員組合執行委員会

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