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2014年06月03日

愛知学院大学教職員組合、大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

■愛知学院大学教職員組合

大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

 4月25日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。学校教育法改正案は、私大教連が危惧した通り、93条を改悪し、教授会を事実上諮問機関化し、理事長・学長の専断体制を確立する内容です。
 この改悪案は、産業界の意向を反映したものであり、産業界における一部経営者によるトップダウン方式が教育・研究にも有効であるという認識に立ったものであるといえるでしょう。しかしながら、教育・研究という営みは、金銭的利潤の追求という単純な目的を持つ産業界における経営活動とは全く異なります。それは金銭を遙かに超えた、複雑かつ多様な価値を生み出す営みであり、そこには産業界の経営方式は通用しません。
 教育・研究という営みは、完成形や正解のないものであり、常に前段階の成果を検証しつつ、ときにはそれを否定して積み上げられていくものです。当然ながら、その営みは一部の者の考えや方法によって規制されるべきものではありませんし、また、そのような規制があれば潰えてしまうものです。従って、特定の価値観や意向をもつ経営者が、こうした常に変化する営みを専制的に運営し続けることは論理的に不可能であり、こうした強引な運営の結果生まれるものは、バイアスのかかった限定的な成果でしかないでしょう。こうした成果は、本来の教育・研究の成果と呼べるものではありません。
 つまり、今回の改悪による大学運営案は原理的に誤っているわけであり、教育・研究の「改革」をうたいながら、その実、それを「破壊」するものとなっていると言わざるを得ません。もし、政府が本当に力強く発展する日本を目指すのであれば、それは、教育・研究をゆがめるのではなく、自由に発展させることによってこそ実現できるものです。今回の改悪がなされれば、この自由という観点から、教育・研究にとって看過できない次のような具体的問題が生じます。
 第1に、教授会は、学生の入学・卒業について「意見を述べる」だけとなり、教員人事、カリキュラム編成などに関われなくなります。これまでの学内民主化の到達点が掘り崩され、教員人事権、カリキュラム編成権などが剥奪されます。教授会は、諮問機関となります。
 第2に、私立大学民主化の法的拠り所がなくなります。理事長が学長を兼ね、理事長・学長の専断体制となっている私立大学においては、学内民主化の法的拠り所がなくなります。
 第3に、教員の人事に関わり、いざ訴訟となった時の法的拠り所がなくなります。
 第4に、学生や事務職員の意見や声も届かなくなることです。教授会が諮問機関にされた大学では、学長による上意下達の強権的な大学運営となり、学生や事務職員の意見が反映されることは考えられません。
 以上の理由から、政府が、国会において徹底した審議を行い、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を廃案とするよう強く求めます。

2014年5月29日
愛知学院大学教職員組合執行委員長
河野敏宏

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