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2014年06月09日

東北大学職員組合、声明「学校教育法・国立大学法人法の一部改正案に反対します」

東北大学職員組合
 ∟●声明「学校教育法・国立大学法人法の一部改正案に反対します」

学校教育法・国立大学法人法の一部改正案に反対します

 私たち東北大学職員組合は、2014 年 4 月 25 日に閣議決定された「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」案には、重大な問題点と危険性があると考えます。
 本法案は、「大学運営における学長のリーダーシップの確立等のガバナンス改革を促進する」ことを目的とし、教授会の審議事項を制限してこれを諮問機関化する等、学長の権限を著しく強化する内容となっています。
 教授会の役割については、学長が決定を行う際にもしくは学長の求めに応じて「意見を述べることができる」程度のものと位置づけられています。これは、これまで大学自治の主体としてその運営を担ってきた教授会の役割を著しく矮小化するものです。このことによって、教授会から教職員や研究科長・研究所長等の実質的人事権が完全に剥奪されることが想定され、到底受け入れられるものではありません。
 学長の選考方法については、学長選考会議が定める基準により行われるものとされ、大学構成員による意向投票は「あくまで参考」(中教審大学分科会・審議まとめ)という位置付けです。私たちは、民主的な選考プロセスを重視することが、創造的で円滑な大学運営にとって必要であると考えます。
 経営協議会の構成員については、学外委員を「過半数」とすることが明記されています。大学の運営・意思決定における学内構成員の意向を軽視するものであり、学長選考方法の問題と同様に、学内構成員が主体的に大学運営に関わることを排除しようとするものです。

 大学自治は、憲法に明記された学問の自由(第 23 条)を制度的に保障するものであり、大学の内部行政に関しては大学の自主的な決定に任せ、大学内の問題に外部勢力が干渉することを排除しようとするもので、伝統的に教授その他の研究者の組織(教授会ないし評議会)がこれを担い、学長・教授その他の研究者の人事の自治はその重要な内容とされています。
 教授会から人事権等を奪い、学長選考から構成員の意向を排除し、大学運営に学外者を多用する内容である本法案は、大学自治を実質的かつ完全に葬り去るものであると言わざるを得ません。学長および学長選考会議委員という極少数の者のみが学内行政の主体となり、それ以外の大学構成員を「被治者」としてしまう組織に「学問研究の自由」「研究成果発表の自由」「教授の自由」の守護者たることを期待することは到底不可能であり、これはもはや「大学の死」にほかなりません。

 2004 年の法人化以降、国立大学運営費交付金の削減が続き、本学においても各部局は恒常的な窮乏状態におかれていますが、一方で総長には権限が集中し、総長裁量経費も膨張しており、現在でさえ、各部局は総長に対してものが言えない状況に陥っています。極端なトップダウン体制は混乱と疲弊を激化させ、その皺寄せは現場の教職員と院生・学生に押し付けられます。研究教育においても大学運営においても、それぞれの組織と構成員が主体的に判断してこそ、大学は活性化し、学生主体の教育や自由な発想に基づく研究が展開されます。「大学運営における学長のリーダーシップ」はそれを支えるものであるべきです。
 私たち東北大学職員組合は、本法案に強く反対するとともに、大学が国民の共有財産であることを自覚し、東北大学が自主的に改革と研究の発展、教育の充実を進めていくために尽力することをあらためて表明します。

2014年6月6日

東北大学職員組合執行委員会

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