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2014年06月18日

東京私大教連、声明「学校教育法改正案の衆議院採決に抗議し、参議院での徹底審議を通して同法案を廃案とするよう求めます」

東京私大教連
 ∟●声明「学校教育法改正案の衆議院採決に抗議し、参議院での徹底審議を通して同法案を廃案とするよう求めます」

《声明》
学校教育法改正案の衆議院採決に抗議し、参議院での徹底審議を通して
同法案を廃案とするよう求めます

2014年6月16日
東京私大教連中央執行委員会

1 6月10日、衆議院本会議は「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を可決し、参議院に送付しました。同法案は、教育課程の編成、予算、採用・昇任等の教員人事、学部長の選考、学生の身分など、教育・研究に関する重要事項について実質的な審議・決定権を有してきた教授会を、「学長が決定するに当たり」「意見を述べる」だけの機関に変質させ、さらには学長が教授会の「意見」を聴かなければならない事項を「学生の入学、卒業及び課程の修了」「学位の授与」に限定し、その他の一切を学長の裁量に委ねることで、大学の教育・研究における教授会の役割を否定するものです。
衆議院文部科学委員会では、自民党、民主党、日本維新の会、みんなの党の4会派が提出した修正案にもとづき、政府案第93条第2項第3号「学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるもの」が、「教授会の意見を聴くことが必要なものとして学長が定めるもの」と修正され、教授会が「意見を述べる」事項を学長のその都度の判断ではなく、あらかじめ定めることとなりました。しかし、教授会から審議・決定権を剥奪し、学長の権限を拡大させるという法案の本質は何ら変わっていません。
2 5月22日の衆議院本会議で同法案が審議入りした後、衆議院文部科学委員会ではわずか3回の審議しか行われませんでした。委員会の質疑では、法案が中教審大学分科会の「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」よりもいっそう後退した内容となっていること、「教育研究に関する重要な事項」(第93条第2項第3号)と「教育研究に関する事項」(同条第3項)が各々想定する事項がまったく不分明なこと、学長の暴走を防止する仕組みが存在しないこと等、数多くの問題点が指摘されました。それにもかかわらず、政府はこれらの指摘に真摯に向き合わず、明らかにされなければならない問題が多く残っているなかで審議が打ち切られました。入学・卒業判定、学位の授与、学生の処分など、専門家集団である教授会が審議・決定すべき事項についても学長が「決定」することの重大な問題性は、ほとんど審議されていません。
  法案が成立すれば、2013年3月28日に文部科学大臣の解散命令を受けた創造学園大学(学校法人堀越学園)の事例に典型的に見られるような、一部私立大学における学長・理事長らの専断的な大学運営がいっそう拡大される事態になることは明らかです。しかし、私立大学の実態に即した審議は、まったく行われていません。
3 同法案は、教員集団の専門性と民主性を尊重し、真理の探究と社会の発展に寄与すべき大学の本来的なあり方を否定し、「大学の自治」を侵害する稀代の悪法というほかありません。私たちは、4月30日に「≪アピール≫学問の自由と大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対します」を発表し、院内集会・議員要請を行うなどました。しかし、大学のあり方を根底から変質させようとする法案の重大性を顧みず、あまりにも拙速な採決が衆議院で行われました。私たちはこのことに厳しく抗議するとともに、良識の府、熟議の府たる参議院での徹底した審議を通して同法案を廃案とするよう強く求めるものです。
以 上

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