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2014年06月18日

中央大学全学教授会会員有志、声明「学校教育法及び国立大学法人法改正に反対する」

中央大学全学教授会会員有志、声明「学校教育法及び国立大学法人法改正に反対する」
                                

学校教育法及び国立大学法人法改正に反対する

中央大学全学教授会会員有志声明

 政府が今国会に提出した「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が今まさに国会で審議されています。
 この法律案が成立した場合、解釈によっては、私たちが研究教育に関する重要事項について審議決定する権利を法的に失い、学長から求めがあった場合にしか意見を述べることができないことになる可能性があります。私たちはこの解釈をとりませんが、いずれにせよこの法律案は、学長が大学の研究教育に関し一元的に決定権を有するものとして法律に明文化することで、教授会の役割を大幅に縮小・限定しようとするものです。
 教授会は、人事を含め研究教育に関する重要事項について広く審議を行い、その結論は学内で尊重されてきました。教授会の審議結果を尊重することが、憲法第23条で定められている学問の自由を保障するための具体的方法だからです。それはまた19世紀以来、幾多の困難を経て歴史的に認められる慣行として形成され、大学における自由な研究教育の根幹とされてきました。明治時代に憲法作成に携わったお雇い外国人は「学問の自由は社会の発展に不可欠であり絶対に守られなければならない」と言っていました。
 私たち中央大学の教員は、これまで、研究者としては自らの良心に従って自由に研究活動を行い、その成果を社会や学生と共有し、公教育に携わる教育者としては、その責任感に基づいて、カリキュラムを作成し、学生を育て多くの卒業生を社会に送り出してきました。そのような私たちにとって法による外部からの強制的な規制は無用なものです。それよりもOECD諸国の平均より低い国内総生産に対する教育費支出割合を高め、私立学校振興費削減をやめ財政基盤を強化することの方が先決です。
 また私たちが責任を負っているこのような研究教育は、自由と多様性、批判精神が保障されて初めて豊かな実りを得ることができるのであり、決して一元的に上からのトップダウンによって得られるものではありません。実際の研究教育現場で最も大切なのは自由で生き生きとした議論ができる真の民主主義が機能することです。私たちは真の民主主義が機能するように努めていきます。真の改革はトップダウンによってはなされません。それはむしろ改革を阻害し教育現場の荒廃をもたらすだけです。
 実際の研究教育現場で起きている事態は多様なものです。他方、一個人の学識と経験の及ぶ範囲は極めて限られています。それ故、学長個人の見識がいかに優れたものであったとしても、一個人の判断に研究教育の未来のすべてを委ねてしまう体制を作り上げてしまうことは、非常に危険なことであると言わざるを得ません。
 以上の理由から、私たち中央大学全学教授会会員有志は、本法案に反対します。

2014年6月10日            
中央大学全学教授会会員有志
           

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