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2014年06月22日

龍谷大学教員有志、大学の自治、教授会自治を否定する学校教育法改正に反対し、廃案を求める緊急声明

龍谷大学教員有志、大学の自治、教授会自治を否定する学校教育法改正に反対し、廃案を求める緊急声明

大学の自治、教授会自治を否定する学校教育法改正に反対し、
廃案を求める緊急声明

                          
龍谷大学教員有志
2014年6月17日

 
 政府・文部科学省は、今国会に学校教育法の改正案を提出し、成立させようとしています。私たち龍谷大学教員は、以下の理由により、この改正案は大学の自治を危うくするものと考え、その廃案を求めます。
 日本国憲法23条に保障された「学問の自由」の具体的な支柱の一つが「大学の自治」であり、その法制度的な規定が現行の学校教育法93条1項です。そこでは、「大学には、重要事項を審議するために、教授会を置かなければならない。」と規定しています。この規定に基づいて、国公私立を問わず全国の大学には教授会が設置され、この教授会が入退学・卒業など学生の身分に関わる事項、学位授与、教育の基本理念や教育課程の編成とともに、教育研究と不可分な教員人事の審議・決定、学部・学科の設置・廃止、予算の審議(龍谷大学では評議会の審議・決定事項)、学部長の選出等を行うことによって、自律的な大学運営を行ってきました。このことが教授会自治の内容であり、それが学問の自由、教育の自由の制度的な保障であり、国民及び広く世界の人々から大学に付託された人類の福祉のための学術を発展させることを可能にしてきました。
 しかしながら、今回の学校教育法改正案は、93条を改定して、1項を「大学に教授会を置く。」とし、「必置義務」を緩和しています。また、2項では、教授会を「学長が決定を行うに当たり意見を述べる」機関とし、しかも、その対象を①「学生の入学、卒業及び課程の修了」、②「学位の授与」、そのほか「教育研究に関する重要な事項で、教授会の意見を聞くことが必要なものとして学長が定めるもの」(衆議院で修正)に権限を限定しています。これでは、その運用次第で教員人事や教育研究に関する重要事項に関する教授会の従来の権限が失われ、教授会は学長の単なる諮問機関と化し、大学トップの専断的な運営がもたらされる危険があります。これは、大学がその時々の政府や権力等から自立した教育と研究を遂行することを危うくし、大学の長期的な発展を困難にすると言わざるをえません。
 世界の主要国の大学では、その形こそ多少は異なるものの、アカデミックな事項については教員組織(教授団)の広範な権限が認められており、それが国際的に通用性ある大学として評価される大前提であることは、広く認められています。中世ヨーロッパに起源をもつヨーロッパの大学では、現代においても教授会自治は学問の自由、教育の自由の柱として堅持されています。米国でも、教育研究に関して専門的な能力を有するアドミニストレーターが教授団と大学執行部を支えるとともに、教員人事や教育研究の重要事項に関しては教授団の意思が尊重されており、理事会等が専断的に運営しているのではありません。
 グローバルで人類的な課題が山積する時代こそ、学術研究と教育を担う大学の自由で多様な発展が不可欠であり、それを実現し支えるのは教授会(教員団)自治であり、それを基盤とする広範な大学構成員の大学自治への多様な形の参加であることは、日本及び世界の大学の歴史が証明しています。このたびの学校教育法の改正案は、教授会自治を脅かし、大学がこの使命を遂行することを危うくするものです。
 以上の理由から、私たちは学校教育法の改正案に反対し、国会での徹底審議のうえ廃案にすることを求めます。また、これからも、大学の自治と学問の自由、教授会自治を発展させ、大学に課せられた人類的使命を果たすために努力することを誓うものです。

龍谷大学教員有志一同
呼びかけ人
丸山徳次(文)、村岡倫(文)、西垣泰幸(経済)、細田信輔(経済)、角岡賢一(経営)、
重本直利(経営)、夏目啓二(経営)、上垣豊(法)、高橋進(法)、脇田滋(法)、四ツ谷晶二(理工)、長上深雪(社会)、新田光子(社会)、嵩満也(国際文化)、Pauline Kent(国際)、奥野恒久(政策)、北川秀樹(政策)、白石克孝(政策)、加藤博史(短)、諸根貞夫(法科院)


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