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2014年06月30日

学部新設や定員増、審査厳しく 京都の大学、対応苦慮印刷用画面を開く

京都新聞( 2014年06月29日)

 大学の学部・学科新設や定員変更に対する国の審査が昨年から厳しくなり、京都の各大学も対応に苦慮している。大学は定員が満たせることを客観的な根拠で証明する必要性から高校生にアンケートをしているが、多大な手間やコストに負担を感じている。複数の大学から依頼を受ける高校側も「とても回答しきれない」と困惑を隠さない。

 「進学希望者が集まらない限り、文部科学省に定員増を申請できない。結果が出るまで不安で仕方なかった」。大谷大の岡田治之事務部長はそう振り返る。

 2015年春に社会学科の定員を100人から120人に増やす計画がある。文科省の審査をパスするには定員に見合う進学希望者がいることを示す必要があり、5月上旬から近畿を中心に315校の高校にアンケートを発送した。進学希望者の必要数は確保できたが、協力を断られることもたびたびあったという。

 京都学園大は、来春に京都太秦キャンパス(京都市右京区)を開設し、健康医療学部の新設や既存5学部の再編を予定する。必要な進学希望者は760人。アンケートは業者に委託したが、回収率を上げるため、内山隆夫学長を筆頭に教職員を動員し、昨年11~12月に近畿の高校202校を訪れて協力を求めた。

 石原祐次事務局長は「何とか定員分を集めたが、中規模の大学には厳しい作業だった」と打ち明ける。

 文科省大学設置室によると、学部・学科新設などの認可申請や届け出の手引きには以前から学生確保の見通しを説明する規定があった。ただ、客観的なデータとして高校生のアンケートを例示したのは昨春からという。

 同室は「アンケートを強制しているわけではない。客観的であれば、他のデータでもいい」とするが、「多くの大学がアンケートを選んでおり、実態としてそう受け止められていないのは事実」と認める。

 大学がアンケートに頼る背景には、審査の厳格化がある。18歳人口の減少で定員割れの大学が相次いでいることを受け、文科省の有識者会議が昨年2月、大学設置認可制度の見直しを提言した。これを受け、同省は学生確保の見通しを審査する専門組織を設け、チェック体制を強化した。京都学園大の石原事務局長は「説得力ではアンケートがベストの手法。根拠が弱いと言われた時に追加調査もしやすい」と話す。


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