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2014年07月22日

学問の自由と外国籍教員を守る声明

今を考える会

学問の自由と外国籍教員を守る声明

 広島大学の教養教育におけるオムニバス形式の総合科目「演劇と映画」で提供されたある講義に対し、産経新聞が執拗な批判を繰り返しています。授業で取りあげたドキュメンタリー映画が従軍慰安婦問題について偏った内容であると決めつけ、この授業の担当教員が外国籍であることを報じたため、ネット上では担当教員に対する不当な非難と中傷がエスカレートし、他方では、衆議院内閣委員会において某国会議員から当該講義を批判するような発言が行われたことで、広島大学にも多数の抗議が寄せられました。このような誹謗中傷は、担当教員の人権を著しく傷つけるものであり、決して許されるものではありません。法的手段にも訴える必要のある深刻な事態であると考えます。
 同時に、これは大学における学問の自由への重大な侵害です。学生と教職員の信頼関係の中で、多様な意見や考えを自由に出し合うことができる場を奪おうとする極めて憂慮すべき事態です。加えて、外国籍教員の排斥を呼びかけるこのようなヘイトスピーチは、「自由で平和な一つの大学」を建学の理念とし、世界に開かれた大学をめざし、国際社会で活躍できるグローバル人材の養成を果たすはずの広島大学にとって、また学問の自由を守り国際化をめざす日本の大学にとって、極めて重大な危機と言わざるを得ません。
 広島大学は未だに学外に対して公式声明を発表していません。確かに、現在進みつつある「改革」によって、大学は自治の精神を失いつつあることが懸念されますが、「自由で平和な一つの大学」という建学の精神を持つ広島大学であるなら、これらの攻撃から学問の自由と外国籍教員を守ることを毅然と表明できるものとわたしたちは考えます。
 こうした事態を重く見たわたしたち「今を考える会」は、6月18日に広島大学総合科学部において緊急集会を開催し、まず、ここに声明を発表して、学問の自由と外国籍教員の同僚を守ると同時に、あらゆる差別を断じて許さないことを強く決意するものです。そして、この声明への賛同を求め、多くの方々の連帯を広く呼びかけます。

2014年6月20日


呼びかけ人(50音順)
青木利夫(広島大学大学院総合科学研究科教員)
淺野敏久(広島大学大学院総合科学研究科教員)
市川浩(広島大学大学院総合科学研究科教員)
隠岐さや香(広島大学大学院総合科学研究科教員)
河西英通(広島大学大学院文学研究科教員)
坂田省吾(広島大学大学院総合科学研究科教員)
辻学(広島大学大学院総合科学研究科教員)
西村雄郎(広島大学大学院総合科学研究科教員)
布川弘(広島大学大学院総合科学研究科教員)
平手友彦(広島大学大学院総合科学研究科教員)
カロリン・フンク(広島大学大学院総合科学研究科教員)
丸田孝志(広島大学大学院総合科学研究科教員)
水羽信男(広島大学大学院総合科学研究科教員)
Claude Levi Alvares(広島大学大学院総合科学研究科教員)

※本文冒頭の日付は声明文サイトアップロードの日付であり、声明文本体は2014年6月20日に作成されました。賛同者人数、賛同者氏名のみ随時更新します。
※現在、大学関係者を中心に賛同者の方を募っています。ご賛同頂ける方はABOUT USに記載された連絡先メールアドレスまでご連絡下さい。


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