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2014年08月06日

軍学共同(大学・研究機関における軍事研究)反対アピール署名

軍学共同(大学・研究機関における軍事研究)反対アピール署名

軍学共同(大学・研究機関における軍事研究)反対アピール

軍事研究とは、武器開発や、敵国に対して優位に立つことを目的とする装備開発や戦略研究であり、戦争・戦闘に直接・間接に繋がる研究である。先の戦争で日本の大学・研究機関は、戦争に協力する学問を生みだし、軍事研究に深くかかわり、多くの学生を戦場に送り出したという苦い経験をもつ。戦後、この戦争遂行に加担したあやまちを二度とくりかえさないため、大学や研究機関は平和目的の研究のみに従事し、軍事研究は行わないことを固く誓った。その決意は日本学術会議の総会声明で「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」(1950年)、「軍事目的のための科学研究を行わない声明」(1967年)と、歴史の節目ごとに繰り返し確認されてきた。また、1980年代後半には大学非核平和宣言運動があり、大学や研究機関ごとの平和宣言・平和憲章なども制定された。

この歴史の流れに逆行して、いま軍学共同の動きが加速されようとしている。2014年4月に、防衛省は大学と軍事の共同研究を本格化させる専門部署「技術管理班」を新設し、大学側との手続きを円滑化しようとしている。すでに、いくつかの大学や研究機関では、防衛省との共同研究協定が締結された。このような軍学共同の動きの背景には、武器禁輸三原則の撤廃などの安倍政権の姿勢が強く関連している。「平成26年度防衛計画大綱」(2013年12月)でも「大学や研究機関との連携の充実により、防衛にも応用可能な民生技術(デュアルユース技術)の積極的な活用に努める」との方針が打ち出されている。

特定秘密保護法が成立(2013年12月)した今日、軍事にかかわる研究の透明性は著しく低下し、軍事機密を漏えいしたとみなされた大学教員や研究者が厳罰を科される可能性が強く懸念される。

軍学共同は如何なる大学・研究機関像をもたらすのだろうか。軍学共同が社会に深く根付いているアメリカの事例から、学問の自由が著しく蹂躙されかねないことが容易に想定できる。軍学共同研究の影響は、大学教員や研究者にとどまらず、大学においては学生・院生へも及ぶことは自明である。それは研究室を主宰する教員や研究者が、その軍学共同の資金に合意された研究を院生・学生にやらせるという立場にもなりうるからである。この結果、院生・学生が意味を十分に理解しないまま、軍事研究に従うことになっていくことも十分ありうる。このような荒廃を決して大学や研究機関にもたらしてはならない。

とりわけ大学は、本来、人類の未来を切り開くための学問・研究の場である。大学は、学問・研究を通じて、民主主義の発展や人々の生活向上、核兵器の廃絶・貧困の根絶といった普遍的な問題や、平和の創造に関する問題に取り組む場である。このため大学は、政治的権力や世俗的権威から独立して、真理と平和を希求する人間の育成を教育の基本とすべきであり、軍学共同とは両立しえない。

われわれは、科学本来の目的・役割に反し、さらに科学の発展をゆがめる、戦争を目的とする研究と教育には絶対に従うべきではない。軍学共同によって戦争に加担するというあやまちを二度とくりかえしてはならない。

ここに学生・院生も含めた大学・研究機関の構成員すべてに対し、軍関係機関に所属する者との共同研究を一切おこなわず、これらの機関からの研究資金を受け入れないこと、また軍関係機関に所属する者の教育はおこなわないことを、あらためて心からアピールするものである。


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